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あなたも落語通(落語に親しむブックリスト2)
栂分館 平成28年11月

11月9日(水)に開催した「和室de落語」で配布したブックリストに、検索方法の情報を加えて改訂したものです。

目次

★落語の基礎知識を得よう

最近出版されたものを1冊紹介します。定番の本についてはブックリスト1をご覧ください。

書名 著者 出版者 どんな本?
落語 横井 洋司
山本 進
山川出版社 過去と現在の主だった落語家や落語の歴史、演目が記され、これを読めば「今の落語」が一通りわかります。臨場感のある高座の写真や貴重なオフショットも満載です。


★弟子としての修業

プロの落語家を志す者は誰でも、師匠に入門し日常のお世話や厳しい稽古を経なければなりません。今は師匠と呼ばれるベテランにも、修業に明け暮れた青春時代がありました。東西を代表する強烈な個性を持つ師匠の元で若き日を過ごした2人の本と、上方落語を代表する6人の聞き書きをまとめた本を紹介します。

書名 著者 出版者 どんな本?
赤めだか 立川 談春 扶桑社 国立演芸場で聞いた「芝浜」にショックを受けて立川談志に入門した青年が、二ツ目昇進披露落語会を開くまでの修業時代を描いたもの。二宮和也主演、談志役はビートたけしでドラマ化されました。立川一門は著作のある人が多いのですが、著者と同時期に修業をした立川志らくの『雨ン中の、らくだ』を併せて読むのもおすすめです。
ためいき坂くちぶえ坂 笑福亭 松枝 浪速社 上方落語四天王の一人、笑福亭松鶴のもとでの修業時代を綴ったもので、自分のことを「松枝は」と三人称で書いているのがユニークです。めまぐるしく色々な人物が現れ、師匠は怒鳴り…まさしく副題のとおり「松鶴と弟子たちのドガチャガ」そのものです。七代目松鶴襲名騒動が起きた直後の出版なので、その問題への言及があります。
青春の上方落語 笑福亭 鶴瓶ほか NHK出版 仁鶴、福團冶、ざこば、文珍、南光、鶴瓶という1962年から72年の10年間に入門した6人に聞いた若き日々。修業時代の失敗談、師匠との思い出、上方落語への思いなど共通のテーマで語られているため、6人の個性や一門の雰囲気の違いなどがわかります。聞き手であり編者である小佐田定雄によって、それぞれの話口調まで聞こえてくるような文章になっています。


★落語に関わって生きる

今から修業してプロの落語家になるのはさすがに…でも落語が大好き、落語を生涯の友としたい人のために、社会人でもできる落語との関わり方を探しました。

書名 著者 出版者 どんな本?
落語、演っちゃいました たかぎ りょうこ 祥伝社 着物を着る機会が欲しいという動機で、落語芸術協会の体験コースの門を叩いた漫画家による体験談。猛練習を重ねて発表会で披露、アマチュアの全国大会に出場、落語会主催など、落語に魅せられていくようすを漫画を交えながら描かれます。落語の基礎知識も解説されていますが、上方落語について少し間違いがあるのが惜しい。ちなみに大阪では天満天神繁昌亭で落語家入門講座を実施しています。
アマチュア落語に挑戦する本! 室岡 ヨシミコ 言視舎 カルチャー教室で落語を学んでアマチュア落語を楽しむ脚本家…と上記の本と似た入口ですが、この本は体験談ではなく全くの初心者が独学で1席できるようになるための指南書です。師匠(参考にする音源)やネタの選び方、練習方法など3か月間のスケジュールが詳しく分かりやすく書かれています。着物の買い方や高座の作り方が載っているのも親切です。
たのしい落語創作 稲田 和浩 彩流社 落語協会と上方落語協会では定期的に創作落語台本を募集しています。落語を作ってプロの落語家に演じてもらうのはどうでしょう。この本では落語が創作され演じられてきた歴史のほか、口演を想定した落語の作り方を解説しています。

★寄席を支える人たち

落語家以外にも落語会や寄席を仕事の場とする人がいます。

書名 著者 出版者 どんな本?
いろものさん 橘 蓮二 河出書房新社 寄席では落語家以外にも舞台に立つ人がいます。漫才、紙切り、奇術、太神楽…寄席を中心に演芸の写真を撮り続けている著者が切り取った一瞬の数々。彼らを見るために寄席に行きたくなります。他の著作では、著者本人が見聞きした貴重なエピソードが綴られた『カメラを持った前座さん』がおすすめです。
お囃子えりちゃん寄席ばなし 恩田 えり イースト・プレス 落語家の出囃子や落語中に必要な音楽を、舞台袖で演奏するのが寄席囃子。三味線と唄は専門の人がいます。著者は落語が大好きで、国立劇場の養成機関で学び寄席囃子として活躍しています。お仕事の内容、修業時代を描いた漫画やお世話になった人達との対談などバラエティに富んだ内容です。
席亭志願 越智多 藁惠 彩流社 寄席を運営する席亭になりたいという夢を叶えるため脱サラし、会社を興し、自分で小さな落語会を始めた行動の人、加藤浩。新聞社で落語を担当する記者が、多くの落語会に通う中で「色のある落語会」に気づき、席亭の話を聞きたいと取材を重ねて作った本。本人、著者自身、話題に上る人物がそれぞれ皆個性的で、落語という世界の奥深さを感じさせます。

★落語が出てくる小説

落語家または落語に関連する小説を、ミステリーから時代小説、ロングセラーから比較的最近の作品まで幅広く集めました。

書名 著者 出版者 どんな本?
空飛ぶ馬 北村 薫 東京創元社 直木賞作家のデビュー作であり、日常の謎系ミステリーブームの先駆けとなった作品です。探偵役は中堅落語家の春桜亭円紫、主人公の女子大学生を人生の先輩として教え導く役割も果たします。「夢の酒」「三味線栗毛」などを演じる場面を読むと、この人の高座を見たくなります。昨年17年ぶりに出版されたシリーズ6作目『太宰治の辞書』にも大真打になって登場し、主人公に素敵な助言をしてくれます。
しゃべれどもしゃべれども 佐藤 多佳子 新潮社 二ツ目の落語家、今昔亭三つ葉は成行きで落語を教えることに。生徒は大阪弁でいじめに遭う小学生、素直に話せないせいで恋も夢も失った舞台役者など、話すことに難のある人達ばかり。三つ葉自身も未熟な芸や片思いなど悩み多き毎日で、人に教えるどころではないのですが…不器用な登場人物がそれぞれ「しゃべる」ことと格闘する中で何かを見つけ出す物語です。
オチケン! 大倉 崇裕 理論社 オチケン繋がりというだけで、興味のない落語研究会に無理矢理入部させられた越智健一。個性的な先輩に振り回され、いつも散々な目に遭います。何も知らない越智君が先輩から受ける落語講義も楽しい。先輩の抱える秘密や部の存続など続きが気になるユーモアミステリーシリーズ、3作目まで出ています。
猫見酒 風野 真知雄 朝日新聞出版 殿様や商人、職人など江戸の人びとが繰り広げるてんやわんやの出来事。副題は「大江戸落語百景」ですが、落語台本ではなくオリジナルの時代小説集です。しかし、軽妙な会話を中心とし、洒落た落ちもあるテンポの良い短編はまさに落語。クスリと笑って愉快な気持になれます。続編の『痩せ神さま』もあります。

★落語の関連資料を探すには

図書館ホームページの資料検索機能を使って、落語に関する資料を検索する方法を伝授します。

   
分類を入力して探す 図書館で資料を内容で分類するのに使われるNDC(日本十進分類法)では、落語は779.13という分類番号です。(芸術>大衆芸能>寄席演芸>落語という構成で細分化されています)
ホームページトップ画面の「くわしく探す」をクリックして詳細検索画面に進み、「分類」の項目に779.13と入力して検索します。
落語の台本は913.7(文学>日本文学>小説・物語>講談・落語本・笑話集)になります。例えば『米朝落語全集』はこの分類です。
大量にヒットしますので、資料種別(大人向けの本か子ども向けの本かなど)や出版年を指定して件数を絞ることをお勧めします。
件名を入力して探す 詳細検索画面の「件名」の項目に「落語」と入力して検索します。この場合も資料種別や出版年を指定する方がいいでしょう。
件名の項目に人名を入れることもできます。著者名に人名を入れると、その人が書いた本やインタビューを受けた本などの著作しかヒットしませんが、件名に入れた場合は第三者がその人について書いた評伝も含まれるので、より多くの本を見ることができます。
資料を探す AV資料は図書資料に比べて検索のキーとなる項目が少ない上、古い資料は検索システムでうまく表示されない部分もあり、検索にはコツがあります。
詳細検索画面の「資料種別」を「視聴覚」のみにし、分類を779.13または913.7にして検索します。
ほとんどがCDですが、カセットテープ、ビデオテープ、DVDの場合もあります。現行のシステムでは媒体を指定して検索することができないため、検索結果から判断する必要があります。出版年が2000年以降の資料についてはカセットテープはほぼありません。美原図書館所蔵で、資料情報の配架場所が「映像資料」のもののうち、請求記号が「VT」はビデオテープ、「V」はDVDです。(まれに例外があります。ご了承ください)

◆関連webサイト
消費者庁
http://www.caa.go.jp/
国民生活センター
http://www.kokusen.go.jp/
堺市消費生活センター
http://www.city.sakai.lg.jp/kurashi/shohi/index.html