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読む上方落語(落語に親しむブックリスト1)
栂分館 平成27年12月

11月11日(水)に開催した「和室de落語」に、電子書籍の情報を加えて改訂したものです。

目次

★上方落語ってどんなもの?

落語のはじまりっていつ?上方落語と江戸落語はどう違う?とにかく知識を得るための本。

書名 著者 出版者 どんな本?
落語ハンドブック 山本 進/編 三省堂 落語の歴史、特徴、名作鑑賞、落語家一覧など1冊で落語全般に詳しくなれる本。江戸落語中心ではありますが、名作鑑賞には「上方落語」の項もあります。その他の落語も「もとは上方噺」と書かれているものが多く、上方落語の奥深さを感じます。
上方演芸大全 大阪府立上方演芸資料館/編 創元社 ワッハ上方編纂の上方演芸のすべてがわかる本。第2章が落語の項です。こちらも歴史や落語家一覧など詳細な資料ですが、寄席囃子や落語家が落語以外に舞台で披露する芸(踊りや色物芸など)に言及しているのがさすがです。
上方落語夜話 露乃 五郎/著 大阪書籍 上方落語の祖・露乃五郎兵衛を敬慕し、後にその名跡を継ぐことになる著者による、実演者から見た上方落語史。カルチャーセンターでの講義を基に編集した本なので、読みやすくわかりやすい1冊です。

★上方落語の四天王って?

上記の本にも書かれていますが、上方落語は戦後、演者の減少等により存亡の危機を迎えました。その危機的状況を救ったと言われるのが、当時30歳前後であった笑福亭松鶴、桂米朝、桂文枝、桂春団治の4人、いわゆる上方落語の四天王です。それぞれが励まし合い競い合いながら芸を磨き、弟子を育たことにより上方落語界は現在の隆盛を迎えました。4人の人となりがわかる伝記的著作を紹介します。

書名 著者 出版者 どんな本?
六世笑福亭松鶴はなし 戸田 学/編 岩波書店 様々な逸話が伝説化している六代目松鶴の実像に迫るべく、在りし日の対談やゆかりの人たちへのインタビューをまとめた本です。聴き手の鶴瓶が「おやっさん」についての話を嬉しく聴いているのが伝わります。巻末には詳細な資料も。
桂米朝(私の履歴書) 桂米朝/著 日本経済新聞社 日経新聞の連載に加筆してまとめたもの。姫路の落語少年が演芸研究を経て四代目米團治に入門、それからの60年を綴った自伝。このほか自伝であり上方落語の入門書でもある『落語と私』(ポプラ社)もお薦めです。
あんけら荘夜話 桂文枝/著 青蛙房 上方落語の大名跡、桂文枝の襲名直後に出版された聞き書きによる自伝です。ともに切磋琢磨した仲間や、師匠・先輩方、わが子同然の弟子たち…ほかの人たちについて語ったところに温かい人柄が表れています。
桂春団治はなしの世界 豊田 善敬/編 東方出版 三代目春団治の芸能生活50年目に出版された本。初代からの春団治三代の人物評や、当代の十八番噺の解説などを編纂しています。巻頭には貴重な写真資料、巻末には年譜やレコード一覧等の関係資料があり、春団治三代の芸や魅力に触れられます。
上方落語の四天王 戸田 学/著 岩波書店 「随筆」としていますが、松鶴、米朝、文枝、春団治の落語についての綿密な考察によりそれぞれの芸を論じた興味深い本です。四天王についての文章に続く第五章「大阪の古今亭志ん朝」も必読。

★どんな落語家がいるの?どんな落語があるの?

好きな噺、お気に入りの演者が見つかると落語がより一層楽しくなります。これであなたも落語通に。

書名 著者 出版者 どんな本?
上方落語家名鑑ぷらす上方噺 やまだ りよこ/著 出版文化社 平成18年、天満天神繁昌亭の開場に合わせ出版され、その時点での上方落語家と代表的な噺の一覧が載っています。
米朝落語全集 全8巻 桂 米朝/著 創元社 高座の録音などを元に活字化した上方落語の定本とも言うべき全集。もはや演じ手のない噺や、現代ではあまり面白さの伝わらない噺もありますが、そういう落語があったという資料的価値もあると言えます。全7巻の旧版や、そこからセレクトして文庫化した『桂米朝コレクション 全8巻』(筑摩書房)もあります。
上方落語のネタ帳 小佐田 定雄/著 PHP研究所 上方落語108席について、あらすじや豆知識、芸談などを交えて解説した、読んで楽しい1冊。落語を聞く前に読みますか?聞いてから読みますか?

★落語に見る伝統芸能

江戸時代大流行した人形浄瑠璃、その演目を取り入れて人気役者が演じた歌舞伎など、落語には大衆に人気のあった芸能を取り入れて生まれた演目があります。落語を好きになると、他のジャンルの古典芸能も見たくなりますよ。

書名 著者 出版者 どんな本?
落語と歌舞伎粋な仲 太田 博/著 平凡社 歌舞伎に題材を取った落語、また明治期の名人・三遊亭円朝の落語を歌舞伎化したものなどを解説した本。芝居噺を得意とする噺家や、能狂言を元にした歌舞伎についても書かれています。
上方伝統芸能あんない 堀口 初音/著 創元社 上方歌舞伎・文楽・上方落語・能・狂言・上方講談・浪曲・上方舞と、上方伝統芸能についてわかりやすく解説している本。4ページの「伝統芸能数珠つなぎ」を見れば、伝統芸能がお互いに影響を与え合っていること、パロディーや本歌取りといった取り入れ方もあることがわかります。

★上方落語が出てくる小説

関西の小説家が手掛けた、上方の落語家を主人公にした小説を集めてみました。

書名 著者 出版者 どんな本?
鬼の詩・上方苦界草紙 藤本 義一/著 ファラオ企画 「鬼の歌」は明治末に実在した落語家・桂馬喬を主人公にした短編です。本来は地味で端正な芸風だったにも関わらず、ほかの噺家の芸を盗もうと隣家に引っ越したり、病で相貌の変わったことを利用した芸にのめりこんだり…自分の芸を求めるあまり狂気の域に踏み込んでしまった芸人の人生を描いています。桂福団治主演で映画化されたこともあります。
寝ずの番 中島 らも/著 講談社 師匠、兄弟子、師匠のおかみさんのお通夜の席を舞台にした連作短編です。不謹慎とも思えるようなハチャメチャなエピソードの中に、家族にも似た一門の情愛が浮かびます。故人のエピソードには、著者が知己の落語家から聞いた実際の話が多分に含まれているので、上方落語ファンならニヤリとするところも。
笑酔亭梅寿謎解噺 田中 啓文/著 集英社 高校を中退し何度も警察のお世話になった不良少年・竜二は、元担任教師の世話で笑酔亭梅寿に弟子入りする羽目に。ここに金髪鶏冠頭の噺家、笑酔亭梅駆(ばいく)が誕生します。六代目松鶴を思わせる、やたけたな師匠と不良弟子を中心に巻き起こる珍騒動の数々。日常の謎系ミステリでもあり、竜二の芸人としての成長譚でもあるシリーズ、全部で5作あります。

★電子書籍でも上方落語

堺市立図書館が提供している電子書籍にも、上方落語関連の資料があります。ホームページにログインして貸出手続きをすればパソコン・スマートフォンでお読みいただけます。(電子書籍の利用には条件があります。詳しくはこちら

書名 著者 出版者 どんな本?
上方落語100選 1~4 グーテンベルク21 1巻に25篇ずつ、全4巻で100篇の上方落語が収められています。図書館のデータには記載がありませんが、落語作家・研究家の三田純市が五代目・六代目松鶴の持ちネタを活字化したものだそうです。
5分で落語のよみきかせ 小佐田 定雄/著 PHP研究所 落語作家である著者が、上方の古典落語や創作落語を子ども用にリライトしたもの。「ふしぎなお話の巻」「とんだ珍騒動の巻」の2巻で、23篇ずつ収められています。関西圏以外の子どもも音読できるように基本的に標準語に直されていますが、「てんじんやま(天神山)」「しちどぎつね(七度狐)」など場所や登場人物の出身地がはっきりしているものは大阪弁の台詞です。
大阪の笑芸人 香川 登志緒/著 晶文社 昭和上方芸能の生き字引と言われた喜劇作家が書いた大阪笑芸史。第三章が大阪の落語についての章です。寄席や劇場、興行会社、ネタを提供する作家の存在など、興行面から見た笑芸について書かれているのがユニークです。