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描かれた老い・認知症
西図書館セカンドステージ応援コーナーブックフェア
2021年9月・世界アルツハイマー月間

9月21日は、世界アルツハイマーデー。2025年には65歳以上の5人にひとりが認知症になるといわれています。

戦後の窮乏期から今日まで、福祉施策や社会背景にそって、人々が老いや認知症にどう向きあってきたか、小説を通して振り返ります。

ブックフェア横断幕:認知症になっても大丈夫 正しく知ってみんなで支えよう セカンドステージ応援コーナー書架の様子
目次

◆さまざまな老いの喪失を描く~老人文学のめざめ 

丹羽文雄が疎開中にあたためていた題材を書いたという 『厭がらせの年齢』は、「老醜」という表現や題名が流行語になりました。

安岡章太郎 『海辺の光景』では、海辺の精神病院で母を看取る9日間が描かれます。

社会 書名 著者名 出版者 出版年 分類 キーワード
十六歳の日記 川端 康成 (金星堂) 1927 913.6
厭がらせの年齢 丹羽 文雄 (改造社) 1947 913.6
1950年 兵庫県が「としよりの日」制定 1947.9.15野間谷村(現多可町八千代地区)で村主催の敬老会を開催
1951年 社会福祉事業法 大阪に老人クラブが誕生(1962年 全国老人クラブ連合会発足)
山の音 川端 康成 筑摩書房 1954 913.6
楢山節考 深沢 七郎 中央公論社 1957 913.6 映画化
海辺の光景 安岡 章太郎 講談社 1959 913.6
耄碌寸前 森 於菟 みすず書房 1961 914.6
瘋癲老人日記 谷崎 潤一郎 中央公論社 1962 913.6
1963年 老人福祉法 老人の日制定(1966年に国民の祝日「敬老の日」となる)
1970年 高齢化社会へ(高齢化率7%超)
恍惚の人 有吉 佐和子 新潮社 1972 913.6

◆福祉元年~介護小説・家族を描く

『恍惚の人』は、「痴呆」老人問題や家族介護の限界を描いて空前のベストセラーとなり、老人福祉行政の推進に対する世論に影響を与えたと言われています。家族や介護問題を問う作品が相次いで発表され、映画やテレビドラマに映像化されました。

社会 書名 著者名 出版者 出版年 分類 キーワード
1973年 福祉元年 老人医療費の無料化 老齢年金引き上げ
1974年 長谷川式認知症スケール
わが母の記 井上 靖 講談社 1975 913.6 映画化
彩霧 円地 文子 新潮社 1979 913.6
1979年 「図説老人白書」刊行
1980年 「呆け老人をかかえる家族の会」発足(2006年「認知症の人と家族の会」と改称)
1982年 老人保健法 老人医療費一部負担の導入 老人保健施設の創設
1984年 人生80年時代へ(女性の平均寿命が80歳を超える)
老熟家族 佐江 衆一 新潮社 1985 913.6 テレビドラマ 映画化
1986年 厚生省に 「痴呆性老人対策推進本部」設置
そうかもしれない 耕 治人 講談社 1988 913.6 テレビドラマ 映画化
白愁のとき 夏樹 静子 角川書店 1992 913.6
寂寥郊野 吉目木 晴彦 講談社 1993 913.6 映画化
私が壊れる瞬間 アルツハイマー病患者の手記 ダイアナ・フリール・マクゴーウィン ディーエイチシー 1993 936 若年性アルツハイマー・当事者
1994年 高齢社会へ(高齢化率14%超)
マッカイ家のおばあちゃん マーガレット・フォースター 筑摩書房 1994 933.7
黄落 佐江 衆一 新潮社 1995 913.6 テレビドラマ 映画化
君に読む物語 ニコラス・スパークス 新潮社 1997 933.7 映画化
安楽病棟 帚木 蓬生 新潮社 1999 913.6

◆若年性認知症・当事者発信の萌芽~内面世界を知る

『私が壊れる瞬間―アルツハイマー患者の手記』は、患者の視点で自らの病気を記述した最初の作品だといわれています。フィクションの世界でも、1990年代から2000年にかけて、一人称で語る作品が生まれています。『白愁のとき』は「精神余命」という造語を用い、告知を受けた本人の精神の移ろいや葛藤を描きました。

2004年には、京都で開かれた国際アルツハイマー病協会・第20回国際会議で、クリスティ―ン・ブライデンをはじめ若年性認知症本人が語り、「何もわからない人」から「認知症を生きる人」へと認識が変わる契機となりました。

社会 書名 著者名 出版者 出版年 分類 キーワード
2000年 介護保険法(1997年成立)高齢者の介護を社会全体で支えあうしくみ 自立支援・利用者本位・社会保険法
マザー 藤川 幸之助 ポプラ社 2000 911.56 詩 当事者家族
つま恋 井沢 満 角川書店 2000 913.6
最期の贈り物 介護小説 中島 久美子 学陽書房 2001 913.6
八重子のハミング 陽 信孝 小学館 2002 916 当事者・家族 映画化
エミリーへの手紙 キャムロン・ライト 日本放送出版協会 2002 933.7
アルツハイマー ある愛の記録 アン・デヴィットソン 新潮社 2002 936 当事者・家族
私は誰になっていくの? クリスティーン・ボーデン クリエイツかもかわ 2003 493.75 当事者
スロー・グッバイ 内藤定一歌集 内藤 定一 青磁社 2003 911.16 当事者・家族
吾妹子哀し 青山 光二 新潮社 2003 913.6 当事者・家族
2004年 「痴呆」から「認知症」に呼称変更 「痴呆」に替わる用語に関する検討会報告書
国際会議(京都)にて、クリスティーン・ブライデン演説
明日の記憶 萩原 浩 光文社 2004 913.6
私の頭の中の消しゴム 木村 元子 小学館 2005 913.6 テレビドラマ 映画化
刺繍 川本 晶子 筑摩書房 2005 913.6
いつもそばにいるから バーバラ・パーク 求龍堂 2005 933.7
もう一つの愛の軌跡 きみに読む物語 ニコラス・スパークス アーティストハウスパブリッシャーズ 2005 933.7
クマが山を越えてきた(『イラクサ』所収) アリス・マンロー 新潮社 2006 933.7 映画化
パコ・ロカ 小学館集英社プロダクション 2007 co コミック映画化
2007年 超高齢社会へ(高齢化率21%超)
2008年 「認知症の医療と生活の質を高める緊急プロジェクト報告書」 早期の確定診断を出発点とした適切な対応の促進、若年性認知症対策
あるつはいまあ十景 大住 広人 水書坊 2008 913.6
シズコさん 佐野 洋子 新潮社 2008 913.6
人生のいちばん美しい場所で 立松 和平 東京書籍 2009 913.6
静かなアリス(アリスのままで) リサ・ジェノヴァ 講談社 2009 933.7 映画化
北国 浩二 PHP研究所 2011 913.6
ぼくが前を向いて歩く理由 事件、ピック病を超えて、いまを生きる 中村 成信 中央法規出版 2011 916 当事者
メモリー・ウォール アンソニー・ドーア 新潮社 2011 933.7
2012年 「今後の認知症施策の方向性について」
認知症になっても本人の意思が尊重され、できるかぎり住み慣れた地域の良い環境でで暮らし続けることができる社会を
 「認知症施策推進五か年計画」(オレンジプラン)
標準的な認知症ケアパスの作成・普及、早期診断・早期対応、地域での生活を支える医療サービス・介護サービスの構築、地域での日常生活・家族の支援の強化、若年性認知症施策の強化、医療・介護サービスを担う人材の育成
生きるぼくら 原田 マハ 徳間書店 2012 913.6
「わたし」の人生(みち) 我が命のタンゴ  和田 秀樹 集英社 2012 913.6
母の遺産 新聞小説 水村 美苗 中央公論新社 2012 913.6
ペコロスの母に会いに行く 岡野 雄一 西日本新聞社 2012 916 当事者・家族 映画化
毎日がアルツハイマー 関口 祐加 パド・ウィメンズ・オフィス 2012 916 当事者・家族 映画化
還れぬ家 佐伯 一麦 新潮社 2013 913.6
私お先にゆきますわ 認知症の妻、星になる 武元 弘文 春秋社 2013 916 当事者・家族
徘徊タクシー 坂口 恭平 新潮社 2014 913.6
認知の母にキッスされ ねじめ 正一 中央公論新社 2014 913.6
認知症になった私が伝えたいこと 佐藤 雅彦 大月書店 2014 916 当事者
忘却の声 上 アリス・ラプラント 東京創元社 2014 933.7
忘却の声 下
2015年 「認知症施策推進総合戦略」(新オレンジプラン) ~認知症高齢者等にやさしい地域づくりに向けて
長いお別れ 中島 京子 文藝春秋 2015 913.6 映画化
私の脳で起こったこと レビー小体型認知症からの復活 樋口 直美 ブックマン社 2015 916 若年性レビー小体型認知症・当事者
老乱 久坂部 羊 朝日新聞社出版 2016 913.6

◆共に生きる社会を描く

認知症であってもなくても、一人ひとりが踏み出す小さな一歩が描かれます。

社会 書名 著者名 出版者 出版年 分類 キーワード
認知症とともに生きる私「絶望」を「希望」に変えた20年 クリスティーン・ブライデン 大月書店 2017 493.75 当事者
認知症になってもだいじょうぶ! そんな社会を創っていこうよ 藤田 和子 メディア・ケアプラス 2017 493.75 若年性アルツハイマー・当事者
ルポ希望の人々~ここまで来た、認知症の当事者発信 生井 久美子 朝日新聞社出版 2017 493.75 ルポ
ついに、来た? 群 ようこ 幻冬舎 2017 913.6
ナックルな三人 ねじめ 正一 文藝春秋 2017 913.6
丹野智文 笑顔で生きる 丹野 智文 文藝春秋 2017 916 若年性アルツハイマー当事者
旅の終わりに マイケル・ザドゥリアン 東京創元社 2017 933.7 映画化
2018年 当事者団体による「認知症とともに生きる希望宣言」
「ぼけますから、よろしくお願いします。」公式プログラム ネツゲン ネツゲン 2018 493.75 当事者家族 映画
認知症鉄道事故裁判 閉じ込めなければ、罪ですか? 高井 隆一 ブックマン社 2018 686.7 介護家族 ルポ
エリザベスの友達 村田 喜代子 新潮社 2018 913.6
ことことこーこ 阿川 佐和子 KADOKAWA 2018 913.6
泣きかたを忘れていた 落合 恵子 河出書房新社 2018 913.6
私が誰かわかりますか 谷川 直子 朝日新聞出版 2018 913.6
わたしのお婆ちゃん 認知症の祖母との暮らし ニコ・ニコルソン 講談社 2018 916 コミック 当事者家族
ばーちゃんがゴリラになっちゃった。祖父母そろって認知症 青山 ゆずこ 徳間書店 2018 916 コミック 当事者家族
2019年 「認知症施策推進大綱」「共生」と「予防」 認知症官民協議会発足
老父よ、帰れ 久坂部 羊 朝日新聞社出版 2019 913.6
池田 重之 郁朋社 2019 913.6
百花 川村 元気 文藝春秋 2019 913.6 映画化
ぼけますから、よろしくおねがいします 信友 直子 新潮社 2019 916 当事者家族
生かさず殺さず 久坂部 羊 朝日新聞出版 2020 913.6
うちの父が運転をやめません 垣谷 美雨 KADOKAWA 2020 913.6
AIドクターロボット 神の使いか?悪魔の化身か? 小橋 隆一郎 ロングセラーズ 2020 913.6
おれは百歳、あたしも百歳 沖田 正午 実業之日本社 2020 913.6
家族じまい 桜木 紫乃 集英社 2020 913.6
十の輪をくぐる 辻堂 ゆめ 小学館 2020 913.6
やがて訪れる春のために はらだ みずき 新潮社 2020 913.6
誤作動する脳 樋口 直美 医学書院 2020 916 当事者
ひろぽと暮らせば 三丁目いちこ ワニブックス 2020 916 当事者家族
全員悪人 村井 理子 CCCメディアハウス 2021 913.6

◆子どもたちとともに(児童書)

書名 著者名 出版者 出版年 分類 キーワード
おばあちゃん 谷川 俊太郎 いそっぷ社 2006 E 絵本
バニラソースの家 年をとるって どんなこと? ブリット ペルッツィ 今人舎 2006 E 絵本
ぼくのおじいちゃん 加藤 伸司 ワールドプランニング 2006 E 絵本
大好きだよキヨちゃん。 藤川 幸之助 クリエイツかもがわ 2006 913 児童書
テッドがおばあちゃんを見つけた夜 ベグ・ケレット 徳間書店 2011 933 児童書
ラブリーオールドライオン ジュリア・ジャーマン フレーベル館 2015 E 絵本
おじいちゃん、おぼえてる? フィル・カミングス 光村教育図書 2016 E 絵本
ばあばは、だいじょうぶ 楠 章子 童心社 2016 E 絵本
こんとんじいちゃんの裏庭 村上 しいこ 小学館 2017 913.6 児童書
奮闘するたすく まはら 三桃 講談社 2017 913.6 児童書
だいじょうぶだよ、ぼくのおばあちゃん 長谷川 和夫 ぱーそん書房 2018 E 絵本
わたしをわすれないで ナンシー・ヴァン・ラーン マイクロマガジン社 2018 E 絵本
あおいアヒル リリア 主婦の友社 2019 E 絵本
とんでいったふうせんは ジェシー・オリベロス 絵本塾出版 2019 E 絵本
赤ちゃんキューちゃん(絵本こどもに伝える認知症シリーズ1) 藤川 幸之助 クリエイツかもがわ 2020 E 絵本
いつかあなたを忘れても 桜木 紫乃 集英社 2021 E 絵本
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