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さかな

おもしろBOOKS探偵帖2009年

さかな
ノンフィクション

人生の地図」〈159〉
高橋 歩/編著 A-Works

 人生という名の旅を楽しむために、自分だけの地図を描こう。
 「自分は、なにを欲しているのか。なにでメシを喰うのか。誰と生きていくのか。なにを、誰を選ぶのか。そして、どう動くのか」
 この本を読んで、心の奥にある気持ちを確かめてみてはどうだろう。

最後の授業 ぼくの命があるうちに」〈289.3〉
ランディ・パウシュ、ジェフリー・ザスロー/著 ランダムハウス講談社

 カーネギーメロン大学教授ランディ・パウシュは癌で余命半年と宣告された。彼は、自分が人生で学んだことを話して、子どもが人生を歩む道しるべのひとつにして欲しいという思いからメロン大学で最後の授業を行う。夢をかなえるにはどうすればいいかや人生をどう生きるかは、10代の君たちにぐっと迫るものがあるはずだ。

世界がもし100人の村だったら」〈304〉
池田 香代子/再話 C.ダグラス・ラミス/対訳 マガジンハウス

 世界を100人の村として見るとどうなるだろう? 私たちが恵まれているということがわかるはず。私たちがあたり前だと思っている生活ができていない人もいる(例えば100人のうち14人は文字が読めない)。いつもとは違う視点で見ると、いろんな気づきがあるはず。

気骨の判決 東条英機と闘った裁判官」〈314.88〉
清永 聡/著 新潮社

 太平洋戦争中の昭和17年4月に行われた衆議院議員選挙。その選挙に対する政府の干渉と妨害を認め、選挙を無効とする判決を言い渡した吉田久は、どのような人物であったのか。また、なぜ国家に逆らう判決を書くことになったのか。関係者遺族の話を交えて、翼賛選挙の実態と当時の裁判所の姿を伝えてくれます。

さよなら紛争 武装解除人が見た世界の現実 14歳の世渡り術」〈319〉
伊勢崎 賢治/著 河出書房新社

 今、この瞬間も世界のどこかで戦争の犠牲になっている人々がいます。著者はかつて「紛争屋」として、各地で活動をしてきました。実際に紛争地帯に乗り込み、対立している武装勢力を説得し、武器を捨てさせるのが任務です。しかし、きれいごとばかりではありません。戦争には莫大なお金や各国の思惑がからむのですから、正義のあり方さえも揺れ動くのです。自分たちに何ができるのか、この本を読んで、一度考えてみてください。

裁判官の爆笑お言葉集」〈327.04〉
長嶺 超輝/著 幻冬舎

 裁判員制度が始まり、ニュースなどでよく見かけるようになったものの、まだ、若干遠い存在に感じるのが、黒いガウンを羽織った裁判官。そんな裁判官が、被告人が退廷する際、被告人の手を握って伝えた励ましの言葉とは…。
 右ページに、爆笑だけでない人情味あふれる裁判官の「お言葉」を、左ページに司法ライターの筆者の客観的なわかりやすい解説があり、気軽に読み進むうちに法律や「法という道具を使って、人が人を裁く」裁判というものについて知ることが出来ます。将来裁判員になることが、ちょっぴり楽しみになるかも知れませんよ。

それ、恋愛じゃなくてDVです」〈367.2〉
瀧田 信之/著 WAVE出版

 「誰かとつきあってみたい」「失恋したくない」それは、誰もが考えることだし、恋人についての悩みもいろいろありますよね。
 DV(ドメスティック・バイオレンス)って「恋人からの殴る、蹴るなどの暴力」のことだけだと思っていませんか?実は、怒鳴る、責める、束縛すると言う行為もDVなのです。お互いが幸せになれる恋愛関係について、考えてみませんか。

中学校でブルースかよ!?」〈375.76〉
深田 悦之/著 毎日新聞社

 ブルース。アフリカから奴隷としてアメリカに連れてこられた黒人たちの悲哀が生み出した音楽。ポップスもロックもジャズも、Jポップも、元をたどればみんなこの苦みばしった音楽に行き着くのだ。でも、中学3年の選択授業でブルースをギターで「合奏」させるなんて、ちょっと無茶すぎない? さてさて、その結果は・・・意外とブルースは<15歳の不機嫌>とシンクロするのかも。

関係性はもう一つの世界をつくり出す 人間活動論ノート」〈379〉
松田 道雄/著 新評論

 現代は厳しい時代だといわれています。その中で「自分」を見つめ、「自分の生き方」を作り出していくにはどうすればいいでしょうか。誰でも「私の考え」は持っているはずです。そしてその「考え」は、自分のそれまでの人生経験の上に新たな体験を積み重ねることによって、少しずつ変わっていきます。つまり生きて活動することは、人とモノの関係性の連続体験だといえます。そこで作者である松田道雄氏は、「私とモノ」の関係、「私と人」の関係、「私の内なる」関係という3つの視点から「関係性」を考えています。「ものの見方・考え方」つまり「私の考え」を、私の実体験から考察し提案したのです。そのための方法も提示していますので、これを読んで、皆さんも自分の生き方を描いてみてください。

生き抜くための数学入門」〈410〉
新井 紀子/著 理論社

 つまずいた。三角関数で? 因数分解で? いや、ひょっとしたらもっとずっと昔につまずいてたのかも知れない。そういえば、円周率って何だっけ?
 わからない=嫌いになりがちな数学。できなくてもみんなちゃんと生きてるよ、大丈夫。でも、内心ちょっと不安じゃない? 数学ができない人は、いつかすごく損するハメになるんじゃないかって。「とは」と「なぜ」の力をつけ、自由に生きるために、数学の考え方を身につけておくことは、実はとっても大事だと気づかされる本。「博士の愛した数式」に感動したあなたにもおすすめ。

心と体をキレイにする水の新常識」〈498.3〉
松下 和弘・朝倉 一善/著 実業之日本社

 人間の体は60%が水分です。私たちの毎日の暮らしの中でかかせない水。巷にはたくさんのミネラルウォーターがあります。
 では、それぞれの水の違いは何でしょう。「本当にいい水」はどんな水でしょうか?
 30年以上水を研究してきた水博士が、カラダにいい水、脳にいい水とはどんな水か、毎日の暮らしと健康に役立つ水の知識を教えてくれます。いい水で、ウエストが減り、偏差値が上がる?!
 知っていて損はない、今まで知らなかった水の事、たかが水、されど水です。

環境と平和 憲法9条を護り、地球温暖化を防止するために」〈519〉
和田 武/著 あけび書房

 今、地球環境破壊は大問題になっています。でもあなたは知っていますか? 日本の環境省の予算は、防衛費の20分の1であることを。日本の温暖化防止対策は先進国の中で最下位であることを。戦争はもちろん軍事練習も環境破壊の重大な元凶であることを(戦車が1時間走っただけで普通自動車1年分の燃料が消費されます)。どうすれば少しでも環境の悪化を食い止め平和を維持していけるかが、イラストや図版を使ってわかりやすく書かれています。

ほんとうの環境問題」〈519〉
池田 清彦・養老 孟司/著 新潮社

 この本によると日本は守ったところで役にもたたない京都議定書のために年間1兆円も注ぎ込んでいるそうです。身の回りのペットボトルのリサイクルはムダという話から、そもそも「地球温暖化」は本当なのか、そして我々の生きる道は、という話まで著者の2人が縦横無尽に語ります。

住まいと暮らしの質問室」〈527〉
「室内」編集部/著 新潮社

 よく『衣食住』って言われるけど、《住む》ということについて考えたことはありますか? ファッションやグルメなら興味があるけど、という人がほとんどではないでしょうか。そんなことに全然興味がないよという人にぜひ手にとってもらいたい本です。たとえば、
・洋式便器の「座」は何につかうのか
・乾電池の保存方法
・ドールハウスが精巧な理由
など暮らしに役立つ知識から住に関する雑学まで幅広く載っています。もともとは、『室内』という雑誌で、読者からの質問の回答として連載されたものです。読み物として面白くちょっとした雑学通になれること請け合いの本です。

ひつじにあいたい
佐々倉 裕美/文 佐々倉 実/写真 山と渓谷社〈645.4〉

 あなたはひつじをみたことがありますか?
 「美」という字は「大きい羊は美しい」ということからできた文字です。他にも「羊」が入った漢字がたくさんあります。ひつじはヨーロッパやオーストラリアにいるイメージがありますが、日本でもひつじに出会えるところがたくさんありますよ。
 この本を片手に、あなたもひつじに会いにいきませんか?

憧れの画家たち10代の絵 自画像・風景・いきものを描く」〈720〉
向山 洋一/鑑賞指導監修 溝端 九輝子/鑑賞指導ほか 金の星社

 この本では、タイトルのとおり、明治時代の初めから現代にかけて、日本の有名な画家たちが10代に描いた作品ばかりを集めています。夭折の画家の作品も含まれているせいか、本当に10代でこんな絵を描けたのかと感心させられる作品が多く載っています。10代でこのような絵を描けることは幸せなのだろうかと考えさせられる作品もあります。
 絵に対する解説文がわかりやすいので、この本を絵画鑑賞の入り口として、手にとってみてはどうでしょうか。

赤めだか」〈779.13〉
立川 談春/著 扶桑社

 今や最もチケットが取りにくい落語家と言われる立川談春。この本は、談春が立川談志に弟子入りしてから真打に昇進するまでの修業時代を書いた物語です。落語について知らなくても大丈夫。ひとりの若者の成長物語として、笑いあり涙ありの展開にいっきに読めること間違いなし。 2008年講談社エッセイ賞を受賞、『本の雑誌』 2008年上半期ベスト1にも選ばれています。

ジロ・ディ・箱根」〈788.6〉
エンゾ・早川/著 双葉社

 箱根の山のまっただなかを自転車で走る、国内最高峰の草レース。それが「ジロ・ディ・箱根」である。
 著者の自転車屋に集まる人たちによる箱根2周の草レースなのだが、完走をめざして彼らは今日も走る。
 著者もお客さんも最初は箱根をなんとか1回登れるかどうかだったのが、ついに2周するレース、最後には3周というのまで出てくる。3周だと出発点の茅ヶ崎の自転車屋さんからの距離はなんと230キロ! 賞金もメダルももらえないのに、彼らはなぜここまで熱くなれるのか。

漢字の相談室」〈821.2〉
阿辻 哲次/著 文芸春秋

 「しんにょう」にはなぜ点が一つのものと二つのものがあるの? 一番画数の多い漢字は何? これからも新しい漢字って作れるの? 漢字に関する疑問に、大学の先生がユーモアを交えて答えてくれます。漢字の成り立ちや変遷についても易しく解説してあり、楽しくてためになる一冊です。

一億三千万人のための小説教室」〈901.3〉
高橋 源一郎/著 岩波書店

 好きな小説をつかまえたら、それをまねてみよう! ゲンイチロー先生が易しくユーモラスな口調で教えてくれる小説の書き方。読むほうが好きという人もこれを読めばさらに小説への興味が広がります。まねしていい小説とそうでない小説について、一刀両断でユニークなブックリストつき。

とっぴんぱらりのぷぅ 田中芳樹のブックガイド」〈902.3〉
田中 芳樹/著 光文社

 「銀河英雄伝説」「創竜伝」などの小説で人気の作家・田中芳樹の博覧強記ぶりがうかがえるブックガイド。なかでも生き残ってきたからこそ読む価値がある、と、古典作品、とりわけ子ども向けの世界文学全集に向ける田中氏の熱い思いがあふれています。
 自分の仕事は読書の入り口になる本を書くのではなく、本好きを読書中毒にするような面白い本を書くこと! と言い切る田中氏。そのために、作品中にいろいろな仕掛けもしているそうです。読んでみたくなる本が目白押しです。

若いうちに読みたい太宰治」〈910〉
斎藤 孝/著 筑摩書房

 あなたは太宰治を読んだことはありますか? もしまだ読んだことがなければ、一度読んでみてはいかがでしょうか。では、どの作品から読んでいけば良いのでしょうか? 『走れメロス』『人間失格』などといった有名な作品から読みましょうか。それも良いですけど、今、自分の状況しだいで読む作品があるとしたら。その時にこの本が活躍します。
1.生きる元気をもらいたいときに読む ~『新樹の言葉』『富嶽百景』ほか、7つの項目があります。それぞれ読む作品を薦めています。この本を通して太宰治の扉を開けてみてはいかがですか。

日本文学ふいんき語り
麻野 一哉・飯田 和敏・米光 一成/著 双葉社〈910.26〉

 三人のゲームデザイナーが日本近代文学を仮想ゲーム化。それで、「雰囲気」でなく「ふいんき」と題しています。座談会形式で書かれていて、わあわあ好きなことを言っているだけかと思いきや、結果的に斬新な文芸批評になっていて愉快です。
 個人的に「これ、やりたい!」と思ったのは、夏目漱石『こころ』の鬼畜ゲーム。
 お気に召した方は、同じ三人による『恋愛小説ふいんき語り』もどうぞ。

子どもたちの遺言」〈911.56〉
谷川 俊太郎/詩 田淵 章三/写真 佼成出版社

 近頃、子どもたちを眺めるだけで涙ぐむことがある。
 80代を迎えようとしている詩人の、死から程遠いと思われる子どもたちの内なる力強い声として聞こえる12篇の詩。そして50代後半の写真家による、生まれたばかりの赤ん坊から、成人式を迎えるまだ大人といえない若者までの一瞬の感情を捉えた写真とのコラボレーション。
 かつて子どもであった、又は今子どもである読み手の心の深い部分に触れ、様々な想いを呼び覚ましてくれる一冊。

大阪歴史探訪ウォーキング 鉄道各駅から気軽に楽しめるルートガイド」〈郷土299.1〉
べンハウス/著 メイツ出版

 今、歴史ブーム真っ盛り。戦国武将の追っかけもいいけれど、大阪の歴史にも目を向けてみませんか。この本では、「太閤さんの時代」、「南蛮貿易とキリスト教」、「太平記の英雄を偲んで」など、古代から江戸時代まで、いろいろなテーマに沿ったウォーキングプランが31コース紹介されています。

よみもの(日本)

朝のこどもの玩具箱
あさの あつこ/著 文芸春秋

 あさのあつこの小説は気になるけれど、『バッテリー』や『The MANZAI』、『テレパシー少女蘭』などシリーズ物はちょっと…という人は、まずこの短編集から読んでみてはいかがでしょう。ファンタジーから動物もの、学園ものに、環境や戦争について思いを馳せるものなどなど、いろんなタイプの「あさのあつこ」が楽しめますよ。

花の道は嵐の道 タマの猫又相談所
天野 頌子/著 ポプラ社

 花道家元の孫息子、というのが災いして、成り行きで花道部に入った理生は猫のタマ(実は妖怪猫又)に相談ごとをもちかけては涙ぐむ小心者の高校一年生。和室の使用権をめぐって、茶道部が花道部をつぶしにかかったのだ。女子が憧れる瀬川、一見真面目少女の工藤、そして理生の一年生トリオは、部の存続のために"猫"の手も借りて大奮闘。

阪急電車」 
有川 浩/著 幻冬舎

 「図書館戦争」シリーズの著者、有川浩さんが書いた本。片道 15分間ののんびりした雰囲気の阪急電車今津線でくりひろげられる、乗客のいろいろな物語、恋模様、人間模様。復讐のために白いドレスで披露宴に出席し仇討したOL。笑える社会人の彼氏を持つ女子高生。軍オタ学生と苗字になやむ美帆ちゃんのカップル、ひと駅ごとのエピソードが、各駅停車で進んでいくお話です。電車が好きな人もそうでない人もおすすめの本です。

大きな木のような人
いせ ひでこ/作 ジョルジュ・メテリエ/監修 講談社

 パリの植物園。日本人の少女さえらは一人の植物学者と出会う。彼は木や花のことをいろいろ教えてくれた。木はその場にじっと佇み、さまざまな物語を記憶してきたのだと。やがて、夏が終わり、さえらが日本に帰るときが近づく。いつもスケッチブックを手放さなかったさえらは、彼に絵を残す。「ありがとう」の一言とともに。
 絵本を開くのは久しぶりという人も多いでしょう。文字に書かれていないメッセージをじっくり味わってください。

獣の奏者」全4巻(
上橋 菜穂子/著 講談社

 現在NHKで放送中のアニメ「獣の奏者エリン」の原作が、Ⅰ・Ⅱ巻から3年の間を置いて、この夏完結しました。
 戦闘用に飼育される生き物・闘蛇と、闘蛇の天敵であり王権の象徴である王獣。この2種類の獣を、少女エリンの存在が結びつけた時、未曾有の災いが起こってしまいます。
 物語は、人と獣の間に本当の意味で交流は可能か? という問いを中心に、過酷な運命に翻弄されるエリンを描きます。その中でエリンの選択した道は、読む人の心を打つことでしょう。

ごめんね ともだち」 
内田 麟太郎/作 降矢 なな/絵 偕成社

 「おれたち、ともだち」シリーズ第4弾。おれたち、キツネとオオカミは大の仲良し。しかし、ある日はじめてのおおげんか。わるいのはおれ、オオカミ。でも、ごめんのひとことが言えない。あぁー 寂しくて、苦しくて。さて、ふたりは、仲直りできたのでしょうか?
 皆さんも、ごめん、ありがとうなど、たったひと言のことばを大切に。

西の善き魔女」全4巻(
萩原 規子/著 中央公論社

 主人公のフィリエルは15歳の時初めて舞踏会にでて、亡くなった母が女王候補だったことを知る。そのときから、次期女王争いに巻き込まれていく。恋をしたり、女王になったり、ユニコーンや竜もでてくるが、フィリエルはどうあってもフィリエルで、富でも名誉でもなく、自分らしくあることを選んで生きていく。大切なことは、自分らしく生きていくことだとわかってくるファンタジーものである。

RDG レッド・データ・ガール   はじめてのお使い
RDG レッド・データ・ガール 2 はじめてのお化粧
荻原 規子/著 角川書店

 日本神話を下敷きにしたファンタジー・勾玉三部作で人気の荻原規子の、めずらしくも学園もの小説です。とは言ってもただの学園ものではありません。山伏・修験者・陰陽師・姫神・神霊などわくわくするキーワードがたくさん出てきます。そして、主人公である鈴原泉水子の成長物語でもあります。

ビート・キッズ
風野 潮/著 講談社

 10年ほど前の出版で映画はすでにDVDにもなった、ちょっと古い本である。主人公は中学生。児童書は、主人公を同年齢の読み手に薦める事が多いが、この本は、ぜひとも高校生以上、出来たら「おっちゃん」と呼ばれて、あきらめのつく年齢=大人に薦めたい。
 中には、タイトルからして、バンド関係の話だろうなとひく人もいるだろう。無関係ですなどとは言わないが、なんていうか、ちょっと予測とは、ズレていると思う。
 まず、本を開いたら4ページの「警告」から読んで行こう。大阪弁に慣れてない人には、お気の毒だが、この言葉のリズムと間は結構、はまる、はまらないを左右する。でも、この本に関しては、硬いこと言わんと、次のページをめくったら、こういう奴がそばにおったら退屈せーへんやろうなと思うはず。

「Calling」
柏枝 真郷/著 幻冬舎

 留学してニューヨークにいた次郎は、2001年9月11日、大きく運命が変わった。テロに遭遇し、一人の女性と出会った。どうしてもニューヨークを離れたくない次郎は、家族の反対を押し切ってアメリカ人女性と結婚、数年後、消防士となった…。ニューヨークを舞台にした小説で定評のある柏枝真郷が、綿密な取材によりニューヨークの消防士の生活や活躍をリアルに描く。

ぶらい、舞子
北村 想/著 小峰書店

 舞子の父が死んだ。いや、殺された。しかし、警察は癌を苦に飛び降り自殺と断定。遺書があっても直感的理性により納得できない舞子は、夏休みにお世話になった演劇の先生を頼り、父が刑事の時に調べていた琵琶湖の竹生島で、てがかりを探ることに。舞子の捜査中に次々と変死事件が起こり・・・事態は意外な真相にたどりつく。。

みなさん、さようなら
久保寺 健彦/著 幻冬舎

 小学生の卒業式、クラスメートが亡くなった事件をきっかけに、住んでいる団地から外へでることができなくなった悟。団地の図書室で勉強し、体を鍛え、団地のなかで職を見つける。その間に、少しづつ小学校時代のクラスメートが減っていく・・・そして、とうとう悟ひとりになってしまう。

龍の腹
中川 なをみ/作 くもん出版

 焼き物で日本を変える―父の夢のため、父とともに中国・宋に渡った7歳の太郎。鎌倉時代、新たな知識を得るには海を渡る他なかった。ところが宋の龍泉で陶工として修業しようにも、父は窯元に子どもしか受け入れられないと言われ、太郎は一人置きざりにされ陶工となる道を歩まされる。名を希龍と改めてつけてもらったが、果たしてその名のように先に希望はあるのか?

お菓子手帖
長野 まゆみ/著 河出書房新社

 この本は、長野まゆみの自伝的エッセイであり、あまた登場するお菓子の数々に、よだれが出そうになる本でもあります。1959(昭和34)年の誕生の年から、長野まゆみを取り囲んだお菓子、雑貨、お店、流行について、その年その年ごとに詳しく書かれて、今の長野まゆみはこうしてできあがったのかということがよくわかる本です。

そっといちどだけ
なりゆき わかこ/著 いりやま さとし/絵 ポプラ社

 ステラは盲導犬です。目の不自由なあかねさんを守ることが仕事です。
あかねさんに「グーッド、ステラ」と大声でほめられると、ステラは幸せでいっぱいになりました。
 幸せな季節がいくつも繰り返されましたが、ステラは年を取り、あかねさんを守ることができなくなり、今はあかねさんは新しい盲導犬と暮らしています。
 あかねさんを思うステラの気持ちが、切ないほど伝わってくる絵本です。

アイスクリン強し
畠中 恵/著 講談社

 『しゃばけ』シリーズで人気の畠中恵は、江戸物の作家という印象がありますが、この本の舞台は明治時代。文明開化で今までの常識が一変したころ、西洋菓子屋を開いた真次郎は、新たなる菓子作りに精を出したいのに、元幕臣で若様、今は警察官の悪友たちが次々やっかいごとを持ち込むために、いつも騒動に巻き込まれてしまいます。

「よろずや平四郎活人剣」
藤沢 周平/著 文芸春秋

 友人にあっさりと金を持ち逃げされた神名平四郎は、生活のため、仲裁屋という商売を思いついた。「よろずもめごと仲裁つかまつり候」の看板を掲げ、武士、商人、裏店の住人たちから持ち込まれる様々な依頼を、弁舌と剣の腕で解決していく、爽やかな読後感の連作短編集。
 なにより、簡潔にして味わい深い文体が素晴らしい。時代小説は初めてという人におすすめです。

神去なあなあ日常
三浦 しをん/著 徳間書店

 『風が強く吹いている』で駅伝を、『仏果を得ず』で文楽を題材にした三浦しをんが選んだ次のテーマは林業!? 平野勇気は就職先を決めることができないまま高校を卒業。当分フリーターで過ごすしかないかと思っていたが、担任の先生と母親の陰謀で、遠い神去村で林業の研修生として働くことになった。逃げ出すことばかり考えていたのに、「なあなあ」→「ゆっくり行こう」「まあ落ち着け」が口グセの村人たちに、だんだん感化されて…。

モサ
山崎 ナオコーラ/文 メディアファクトリー

 カルガリ族の少年モサは、東京近郊のニカイ町に住む14歳のニート。男だがスカートをはいている。その理由はただ一つ、反抗のためだ。文部科学省に対して違和感を抱いたモサは、天文台に住むホシヨミさんのところで天体観測をしている。ある日、流星群を観察していると、爆発した自分の星のかけらに乗った女の子が飛び込んできた。彼女にうながされて、モサは学校へ行かなくなって以来溝ができていた唯一の親友のハリに会いに行くことになるのだが・・・。はたしてモサにニート脱出の日は来るのか?荒井良二さんの挿絵もキュートな一冊。

よみもの(海外)

スタイルズ荘の怪事件
アガサ・クリスティ/著 田村 隆一/訳 早川書房

 名探偵エルキュール・ポワロシリーズの記念すべき第一作めである。これ以後、彼が出てくる作品は、短編も含めると四十作以上あるが、クリスティの中では、最多で人気のシリーズである。クリスティの作品は謎解きのおもしろさはもちろんであるが、各登場人物の描写がすぐれていて、いきいきしている。あなたも、灰色の脳細胞を働かせて、謎に挑戦してみてください。

16歳。死ぬ前にしてみたいこと
ジェニー・ダウンハム/著 代田 亜香子/訳 PHP研究所

 白血病におかされたテッサ。友達は大学生活を楽しみ、弟は明るく手品に夢中。が、テッサには命の終りが刻一刻と迫る。テッサは死ぬ前にしてみたいリストを作り、親友と実行にうつした。セックス、ドラッグ、違法行為…。リストの先にあるものは?愛する人に出会え、愛する人たちを見守りながら、テッサの最期の日が近づく。

ヒットラーのカナリヤ
サンディー・トクスヴィグ/作 小野原 千鶴/訳 小峰書店

 舞台は第二次世界大戦下のデンマーク。ドイツ軍に占領されたコペンハーゲンで、実際にあった話をもとにしたフィクションです。ユダヤ人をナチスの手から逃がすために一般市民が行動しました。世界中が戦争という混乱した時代に、何を基準に「正しいこと」を判断したのでしょう。戦争を経験した世代からの大事なメッセージです。

うさこちゃんときゃらめる
ディック・ブルーナ/ぶん・え 松岡 享子/訳 福音館書店

 今ではミッフィーのほうが知られた名前になるのでしょうか? 40年以上にわたって描き続けられている、絵本のシリーズの最新刊です。
 なんとこの本の中でうさこちゃんは、お店のキャラメルをとってしまいます! でも眠れないほど後悔したうさこちゃんは、次の日おかあさんに話して、お店にキャラメルを返しに行きます。
 作者のブルーナは、インタビューで「持ってきてしまっただけ」「多くの子どもが体験すること」と話しています。
 同級生に対する差別に接したり、おばあちゃんを亡くしたり、うさこちゃんは私たちの知らない間に、成長していますよ。

宇宙への秘密の鍵
ルーシー・ホーキング、スティーブン・ホーキング/作 さくま ゆみこ/訳 岩崎書店

 飼っているブタを追いかけて隣家に入り込んだジョージは、隣家の女の子アニーとその父で科学者のエリック、そして世界一パワフルなコンピュータコスモスと知りあいになります。アニーと彗星に乗って宇宙を旅したり…といった宇宙の冒険も楽しいけれど、現実世界をめぐるできごともハラハラドキドキもの。おまけにわかりやすい説明や写真で宇宙のことも勉強できる楽しい一冊です。

空の飛びかた
ゼバスティアン・メッシェンモーザー/作 関口 裕昭/訳 光村教育図書

 散歩の途中出あったペンギンが言った。「空から落っこちたんだよ」・・・どうみてもペンギンの、やつは、鳥になりきってやれば飛べると思いこんでいるのだ。ペンギンをひきとってやったわたしは、空飛ぶ練習にもつきあうことになる。失敗の連続の行く末は・・・?
 上質の鉛筆画とともに非日常の世界をどうぞ。

グッドラック
アレックス・ロビラ、フェルナンド・トリアス・デ・ベス/著 田内 志文/訳 ポプラ社

 あなたは運と幸運の違いがわかりますか? この本では読みやすい物語で書かれています。運とは? 幸運とは?
 この本を読んで、その違いを知ってみてはどうでしょう? そして、あなたも幸運をつかんでみては。

堺市立図書館 平成21年10月発行