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図書館トップページ> おすすめ!ブックリスト> おもしろBOOKS探偵帖> 2008年 |
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ノンフィクション | |
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「図書館が教えてくれた発想法」 高田 高史/著 柏書房〈015.2〉 今までの生活に煮詰まって、ひと夏だけ図書館でアルバイトすることにした彩乃ちゃん。図書館職員の重要な仕事、レファレンス(調べもの)について、毎日少しずつ学んでいきます。求める情報はどこにあるのか、絞って考えたり、逆に広げて考えたり。本とインターネットの違い、意外に使える児童書…最後に彩乃ちゃんが何者だったのか、図書館で学んだことが彼女に何を与えたのかがわかるちょっとした「オチ」が付いています。 |
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「受験生の心の休ませ方」 加藤 諦三/著 PHP研究所〈159.7〉 入試やテストが近づいてくると焦ってしまう。そして、自分はダメだと思ってしまう。 勉強や恋、親との関係など悩みの多い十代。けれど、今悩んでいることは、きっとキミの人生にとって無駄なことではない。そう語りかけてくれるこの本。少し心が疲れているなと感じた時に読んでほしい1冊です。 |
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「禅を楽しむ本」 ひろ さちや/監修 主婦と生活社〈188.8〉 外国の人から見ると、日本=宗教=禅=寺とイメージされることが多いようだが、実際日本人としてどれだけ知っているのか? 珍しい訳ではないのに、言葉だけしか知らない人も多いのでは? 図解にフリガナつきで、精進料理まで幅広く紹介されている。 |
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「黄泉の王 私見・高松塚」 梅原 猛/著 新潮社〈210.3〉 いまだに被葬者が特定されず、謎の多い高松塚古墳。 1972年に発見された時、石室の壁画の一部は削り取られ、人骨には頭蓋がなく、太刀には刀身がなかった。 著者は大胆な仮説を立て、様々な文献を検証しながら被葬者の正体に迫っていく。そこで浮かびあがったのは、権力闘争の犠牲になった悲劇の皇子の姿だった…。古代史への興味が深まる1冊。 |
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「ローマ人の物語 T:ローマは一日にして成らず」 塩野 七生/著 新潮社〈232〉 まさにローマは一日にしてならず、という言葉どおりの物語です。古代ローマの誕生期から、非常に詳しく年代順に、ローマだけではなく、近隣のギリシア、カルタゴ等の関係も説明されており、ヨーロッパの歴史に興味のある人は、ぜひ読んで下さい。単行本にして全15巻のシリーズ。読後ヨーロッパの世界観が変わります。 |
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「オーロラの向こうに」 松本 紀生/著 教育出版〈295.39〉 極寒のアラスカでオーロラ撮影に取り組む著者。マイナス50度にもなる白銀の世界で、1か月間独りでオーロラが現れるのを待ちます。撮影は成功するでしょうか? 美しい写真の向こう側にこめられた、1人の人間の成長と感動の体験記。 |
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「不肖・宮嶋のビビリアン・ナイト |
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「自分をさがそ。 多様なセクシュアリティを生きる」 |
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「40歳で決めた大学教員の道」 柿本 尚志/著 幻冬舎ルネッサンス〈377.13〉 戦後すぐに生まれた著者は1977年の厳しい就職戦線の中、銀行不倒神話のイメージだけで銀行を志望。その中で出生地に近いことと店舗数、そして途中で仕事を辞める可能性を考え、業務の種類の多さを基準に大和銀行へ就職した。銀行員時代に実際に近くで見聞きしたこと、例えば横領事件や銀行強盗のエピソード、そういった体験に基づく銀行の実情や企業論。そして大学院時代の生徒としての経験と教壇から見た大学、及びこれから社会へ飛び出す若者へのメッセージ。 |
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「素敵にサイエンス 研究者編」 鳥養 映子・横山 広美/編著 近代科学社〈407〉 スポーツに音楽に女性の活躍が目覚ましい時代ですが、科学分野で活躍する女性は今のところ少ないのが現状です。理系が好きだけど将来に不安を感じて進路に悩んでいる女性がこの本を読めば迷いが少なくなるでしょう。 |
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「世にも美しい数学入門」 藤原 正彦・小川 洋子/著 筑摩書房〈410〉 「博士の愛した数式」の著者小川洋子と数学者藤原正彦先生との対談である。本文にはガウスや虚数といった言葉がとびかっているが全然難しくない。それは本文が対談ゆえ口語体だからなのか、それとも数学が美しいからなのか。ぜひ数学の勉強の息抜きに読んでみてはいかがでしょう。 |
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「仮想インタビュー物質が語る自画像 クォークからブラックホールまで」 リチャード・ハモンド/著 岡田 好惠/訳 講談社〈420.4〉 炭素、ブラックホール、ウランなど宇宙に存在する(と予想される)総勢22の物質にインタビュー、自らその誕生の過程や特性を語ります。難解な専門用語がたっぷり出てきますが、ユニークなキャラクタ設定になっていて、楽しく読んでいるうちに物質や宇宙に詳しくなれます。 |
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「新しい高校化学の教科書」 左巻 健男/編著 講談社〈430〉 高校時代、化学を選択していたものの、根っからの文系人間なので、その後の人生に化学など縁がないものと思っていた。あれから何十年、毎日の家事をこなすのにも化学の知識が役に立つことに気づいた時、頭に残っていたのは化学記号が1つか2つ。 この本が受験に役立つのかどうかはわからない。でも、生活には役に立つはず。シリーズで「生物」「物理」「地学」も出ているので、受験勉強の息抜きにでも読んでもらえたらと思う。 |
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「恐竜研究所へようこそ」 林原自然科学博物館/著 童心社〈457.8〉 恐竜のことを知りたい、調べたい! それには、化石を見つけ、発掘するしかない。 林原自然科学博物館は、1995年にモンゴル・ゴビ砂漠で大型植物食恐竜サウロロフスの化石を発見し、掘り出し、研究してきた。 この本では恐竜発掘調査隊の持ち物、調査ルート、調査隊の一日などを紹介。さらに現場での調査からプレパレーション・ラボ、研究まで、恐竜にかかわる仕事を完全網羅! 単なる恐竜図鑑に満足できない恐竜ファン、それとも恐竜関係の仕事につきたいと一度でも思った君におすすめ。 |
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「海と親しもう」 伊藤 勝敏/著 岩波書店〈481.72〉 干潟や潮溜まりで、海の生き物に近付いて観察してみませんか? 水中カメラマンの著者が、気をつけたい危険な生物(毒)や、シュノーケル・防水カメラの使い方、しかけの作り方など体験の仕方を紹介。正面から写した魚の写真や、ひれを使って歩くカエルアンコウの姿など、ユニークな姿もカラー写真で載っています。 |
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「ペンギンの歩く街」 藤原 幸一/写真 文 ポプラ社〈488.66〉 人口3000人の静かな街、サイモンズタウンは南アフリカ共和国にある。 このサイモンズタウンでは、ペンギンと人間が一緒に暮らしている。街中を堂々と歩くペンギンたちはとてもユーモラスで、街の人々に愛されている。 だが、野良猫や、自動車事故、原油を運ぶタンカーによる海の汚染が、ペンギンたちの安全をおびやかしている。 一方、「人間のせい」で起こった環境汚染で傷ついたペンギンを保護し、海へ返すボランティアもいる。 人間とペンギンの共存するサイモンズタウンから、環境問題について考え直してみよう。 |
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「おいしいハンバーガーのこわい話」 エリック・シュローサー,チャールズ・ウィルソン/著 宇丹 貴代実/訳 草思社〈498.5〉 みんなの大好きなファーストフードのハンバーガーやフライドポテト。 どうやって作られているのかな? そして、世界中のほとんどの国で同じ物が売られているのは知っている? どうしてこんなに広まったんだろう? おいしいからって、子どもの時から大量に食べ続けると体のためにはよくないみたい。高校生にちょっと知っていてほしいことが書いてあるよ。 |
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「道具にヒミツあり」 小関 智弘/著 岩波書店〈502.1〉 ボールペン、消しゴム、ファスナー…。皆さんにも身近な道具はどうやって作られるのでしょう? 日本の町工場で働く職人さんたちが、工夫と苦労を重ねて、より価値の高い商品を開発して、今に至っています。新商品の誕生秘話など、ものづくりの世界の裏側をのぞいてみよう! |
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「山に木を植えました」 スギヤマ カナヨ/作 畠山 重篤/監修 講談社〈519.8〉 「森は海の恋人」という言葉を聞いたことがありませんか? 漁師さんたちによる、広葉樹の植樹運動の合言葉です。「汚れた海を元気な海に戻したい」と宮城県の漁師さんたちが植樹祭を続けて今年で20年、森も川も海も生き返ってきました。今、この運動は全国に広がっています。 山に木を植えることが海にどう影響してゆくのか、遠く離れた森と海を結びつける橋渡し役「フルボ酸鉄」とはなにか? この本では、海と森、自然と人とのつながりについて絵と短い文章でわかりやすく描かれています。 |
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「私の人生は「トイレ」から始まった!」 白倉 正子/著 ポプラ社〈528.1) 駅の女性トイレはいつも込んでいるし不便で汚い。もっといい場所にあって、広くて明るくて安心できて、キレイで臭くない快適なトイレはないの!? 卒業と同時に起業し、アントイレプランナーという職業を選択した著者の足跡。 |
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「絵をみるヒント」 窪島 誠一郎/著 白水社〈720.79〉 興味があっても、絵は難しくてわからないと思っている人も少なくないのではないでしょうか。また、美術館も敷居が高くて入りにくいなあと思っていませんか。もっと気軽に絵を楽しんでもらいたいとの思いから書かれたのがこの本です。 信州で小さな美術館を営む作者は、画家の知名度や技術、または資産価値にまどわされず、「絵には答えがないのでみる人が感じることが大切」だとくり返し述べています。そして、感じるための絵のみかたをわかりやすく説明しています。美術館での絵のみかた、絵をみた後のすごし方、そしてまた絵の値段はどう決められているのか、絵を集める人(コレクター)とはどういう人達か等、絵をとりまく世界のことも書かれています。 「本当の絵画鑑賞の喜びは自分だけの恋人(作品)をみつけること」という作者の言葉を胸に、あなたも美術館に足を運んでみてはどうでしょうか。 |
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「プロフェッサーPの研究室」 「ふたたびプロフェッサーPの研究室」 岡田 淳/著 17出版〈726.1〉 プロフェッサーPは天才科学者。助手とともにさまざまな研究を試みます。しかし、タイムマシンを作っても、マシンが過去に行ったきり戻ってこなくなったり、毛はえ薬の威力がすごすぎて、家を壊してしまったり、世界の平和とはほど遠いところで、日々失敗を繰り返します・・・。 プロフェッサーPの活躍(?)を描いた1ページ漫画。「二分間の冒険」「こそあどの森の物語」などで知られる児童文学作家岡田淳の違う一面が見られます。 |
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「サヴィニャック ポスターA−Z」 レイモン・サヴィニャック/著 小柳 帝/日本語版監修 KTC中央出版〈727.6〉 フランスの有名なポスター作家サヴィニャックの全盛期は半世紀も前のことですが、監修の小柳氏は彼の作品をこう語っておられます。「一瞬で人目を惹く大胆なモチーフ、グラフィカルな構図、ポップな色彩、そして何よりもその類い稀なるユーモアのセンス」見ていて楽しくなるポスターの数々です。 |
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「「世界征服」は可能か?」 岡田 斗司夫/著 筑摩書房〈778.77〉 すっかりダイエット本の作者として有名になった著者だけど、もとはアニメ製作会社の社長で、オタキングと呼ばれる筋金入りのオタク。その知識を駆使して、アニメや漫画に見られるいわゆる「悪の組織」が目指す世界征服、それを現実にしてみたらどうなのか? を熱く語っている。しかしオタクのたわごとと聞き逃すなかれ。それぞれの組織を、ナチス、ローマ帝国、北朝鮮など実際の帝国政策にあてはめることで、それはぐっと現実感を持つ。そうして見えてくる、悪の定義とは? 世界を形作るシステムとは? |
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「最後のシュート」 ダーシー・フレイ/著 井上 一馬/訳 福音館書店〈783.1〉 NYブルックリンにあるリンカーン高校−凶悪犯罪が頻発する区域にある−のバスケットボール・チームは、市大会の本命チームだ。それは、選手たちにとって、テレビ中継のある全米レベルの大会へ招待されるというだけではない。 大学のスカウトの目に止まることが出来れば、はるか先にはプロバスケットリーグ、NBAへの入口が見えてくる。たとえプロ入りが無理でも、奨学金付きの大学教育を終えれば、立派な仕事を得て困窮生活から脱出できるのだ。 そんな夢を追って、もがきながらも進んでゆく四人の選手の姿を描いたスポーツ・ノンフィクションの傑作。最後に彼ら四人を待つ運命の落差、栄光〜一人はNBAのステフォン・マーブリーである〜と悲惨には、胸を締めつけられる。 |
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「字幕屋は銀幕の片隅で日本語が変だと叫ぶ」 太田 直子/著 光文社〈801.7〉 映画字幕の翻訳とは普通の翻訳とはまったく違う。まず画面の文字数は、登場人物の話す時間(秒単位)や、観客が読み取ることのできる量に左右される。原文のニュアンスを持ったまま、可能な限り文を短くする力量も必要だ。そうして苦労して作っても、クライアントの無茶な要求で台無しになることも・・・。 映画字幕の翻訳家として1000本以上の作品を手がけた著者が、抱腹絶倒な字幕の世界の裏側や、翻訳を通して見えてくる日本語を取り巻くさまざまな問題を語っている。 |
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「57577 Go city,go city,city!」 枡野 浩一/著 角川書店〈911.168〉 短歌が4コマ漫画のせりふのようになっていて、例えばしりあがり寿、魚喃キリコ、松尾スズキ、リリー・フランキーなどが、さらっと漫画を描いています。さらに、英訳もついている。というわけで、一冊でいろいろ楽しめます。しかし一番みてほしいのはやはりこの短歌。まずは文字だけを見て、自分のイメージを膨らませてください。日記の片隅にあるような、ぽつんとつぶやいたような言葉が実はちゃんと短歌のリズムに乗っています。 |
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よみもの(日本) | |
「恋のドレスとつぼみの淑女」 青木 祐子/著 集英社 ヴィクトリア朝英国、仕立屋『薔薇色(ローズ・カラーズ)』の主人クリスは、いつも紺色のドレスをまとった控えめな少女。が、彼女がお客の心をかたちにしたドレスをまとえば、恋がかなうと大評判なのだ。そんな彼女のもとへ、名門貴族の御曹司シャーロックが、立つことの出来ない妹のドレスを依頼に訪れるが・・・。 シリーズは現在12作出版されており、思うようには進まない二人の恋の行方や、各話ごとにクリスが仕立てるドレスも素敵ですよ。 |
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「キャベツ」 石井 睦美/作 講談社 洋は父親が亡くなってから、妹の美砂を怒らないこと、仕事を始めた母の代わりに料理をすることを誓う。ところが周囲からは、所帯じみた暗いやつと思われることに。妹の美砂も洋に辛らつだ。そんなある日、妹のお膳立てで、友人のカコちゃんとデートすることになる・・・。 |
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「ユリエルとグレン 1」 石川 宏千花/著 講談社 バンパイアに襲われた兄弟がいた。《無限の血》を持つ弟ユリエルは、バンパイアとなった兄・グレンを元の人間に戻す方法を探すため、兄とともに旅をしている。 旅の途中、ある村で起きた事件を調査する兄弟は、異端審問聖庁に所属する叔父・トリストラム、バンパイアハンターのテレンスと出会い、バンパイアハンターへの修行の道を選ぶのだった。 |
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「『恐怖の報酬』日記」 恩田 陸/著 講談社 著者は一度も海外旅行をしたことがない。行きたいところがないわけではない。取材だってしたいのだ。しかし、今まで行ったことがなかった。何故か? 怖いのである。 何が? 飛行機が。 ところが取材のためのイギリスとアイルランド行きが決まった。 そこで彼女は書くことにした。恐怖から逃れるために。気を紛らわすために。この本は、出発前から帰国までおよび後日談からなる紀行文です。さて、旅のあと心に残ったものは? そして飛行機恐怖症は克服できたのか? それは読んでのお楽しみ。 「小説家ぶー子イギリスを行く」(村山由佳/著 集英社)もお勧めです。 |
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「モデラートで行こう」 風野 潮/著 ジャイブ 元男子校で男子ばかりの高校に入学し、吹奏楽部に入部した奈緒たち女子高生が、キツイ練習や「女子お断り」の雰囲気にも負けず、カッコイイ先輩との恋愛や女の子同士の友情をとおして成長していく物語。ちなみに「モデラート」とは、「中くらいの速さで」という意味の音楽用語です。 |
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「蜜蜂の家」 加藤 幸子/作 理論社 亡き父の友人の世話で入った会社を辞め、母とも訣別した理枝は、「応募資格・性別、経験不問/年齢20−30/要運転免許/寮有り」という条件だけで養蜂助手の仕事に応募した。しかし、面接に向かった先は今までの生活とはかけ離れた世界だった。にもかかわらず、理枝はこの「蜜蜂の家」に就職してしまう。 心の傷を癒すには、時には荒療治も必要なのかもしれません。 |
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「ターン」 北村 薫/著 新潮社 交通事故で意識を失った真希。目覚めた場所は、24時間で時間が元に戻る、不可思議な世界だった。毎日が繰り返しとなってから数ヵ月後、家の電話のベルが鳴り出した。 毎日が同じだったら自分はどうするだろう? 心の声に耳をすませながら、真希を見守ってください。ある変化があった後、時間の意味について自分の身に置き換えながら考えられる一冊です。 |
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「メジルシ」 草野 たき/著 講談社 双葉の右手にはやけどのあとがある。そのやけどのあとは「メジルシ」。 両親が離婚することになり、最初で最後の家族旅行も家族はばらばら。母を美樹さん、父を健一君と心の中で呼ぶようになっていた双葉は仲良し家族を演じたくはなかった。 旅行が終わるころ、「メジルシ」の意味が美樹さんから語られるとき、美樹さんは「お母さん」になった。 |
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「月下花伝」 越水 利江子/著 大日本図書 秋飛はおじいちゃんを亡くし姉と二人暮らし。家にある新撰組の映画と形見の刀「月不宿」で心を慰めていた。姉の女優家業が羨ましかった秋飛は高校をやめて、下っ端の女優になる。剣術だけがとりえの秋飛だが一生懸命頑張るうち、偶然、楽屋で新撰組の映画を紹介された。それは自宅のものと違い、結末まで描かれていた。 |
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「戸村飯店青春100連発」 瀬尾 まいこ/著 理論社 大阪市住ノ江にある戸村飯店(中華店)が俺達兄弟の家だ。順応性のある兄のヘイスケとムードメーカーの弟のコウスケは性格も見た目も正反対の兄弟。作家をめざして東京へ向かう兄と、家業を継ごうと思っている弟。 自由奔放に生きる兄弟にむける影の主役おとうさんの一言一言が、何ともたまらない。思春期の君に勧めたい1冊。 |
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「グラン・ヴァカンス」 飛 浩隆/著 早川書房 「いつか観てみたいわ、春を。ここには夏しかないものね。」 ぼくは柔らかい春の雨を想像した。美しい残酷な夏の終わりに。 仮想リゾート<数値海岸(コスタ・デル・ヌメロ)>の<夏の区界>。そこにはコンピュータ・プログラムを人間の姿に実体化したAIと呼ばれる住人が暮らしていた。"ゲスト"である人間の訪問が途絶えてから1000年、永遠の夏を、ずっと。 だがそれは謎の存在<蜘蛛>により唐突に終焉の時を迎える・・・。 著者はSFの要件をこう語る。清新であること、残酷であること、美しくあること。SFでしか語り得ない冷徹で謎めいた容赦ない美学に痺れて欲しい。 |
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「スリースターズ」 梨屋 アリエ/著 講談社 お金持ちのひとり娘、弥生。両親に愛されず、男の子を次々好きになる、愛弓。クラス委員で優秀、万能タイプの水晶(きらら)。この三人が現実に失望し絶望し生きる望みをなくすなか、別々のブログを通じて知り合い、練炭自殺を図るが失敗、自爆テロを計画する。 いじめ、自殺、レイプ、親子関係、爆弾テロ。暗い問題を扱いながら、死と隣り合わせになり、それぞれに自分の周り・環境に疑問を持ち、自分探しや生きる意味を模索する少女たちの物語。 |
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「アート少女」 花形 みつる/著 ポプラ社 天敵の新任校長のおかげで廃部のがけっぷちにある美術部は、よくも悪くも中学校で一番有名だ。伝統ある美術部を守って闘う部長の根岸節子だが、かんじんの部員(わずか4人)はどいつもこいつもクセモノぞろい。打開策は次々に校長につぶされるが、協力者も現れて・・・。瀬戸際美術部が地元商店街の救世主となる!? |
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「ラン」 森 絵都/著 理論社 家族を失いひとりぼっちで生きている環。偶然あの世に行く方法を見つけるが、自力で42キロ走ることに。たまたま誘われたマラソンチームには個性豊かなキャラクタ。何のために走るのか、走った後に待っているものは? 生きることに勇気をもらえる物語。 |
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「まだ見ぬ冬の悲しみも」 山本 弘/著 早川書房 分野で言うと、ハードSF。こう書くとそっけないが、後書きにもあるように、「まじめな顔をしてヨタを飛ばすのがSFの面白さなのだ」。いかにリアルなヨタを飛ばしてくれるか、楽しめます。加えてパロディ要素に、またニヤリと笑えるお話。個性的な短編が6つ収録されています。 |
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「米原万里の「愛の法則」」 米原 万里/著 集英社 2006年に亡くなったロシア語の同時通訳者・翻訳家・文筆家であった著者が、高校で行った講演録です。将来、語学を生かした仕事に就きたい人もそうでない人も"目からウロコが落ちる"こと請け合いの4章です。 |
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よみもの(海外) | |
「さよなら、星のむこうへ」 「あの星への切符」 「いつか、星にほほえみを」 シルヴィア・ウォー/著 金子 ゆき子/訳 ランダムハウス講談社 はるかかなたの星、オーミンガット。高度な科学力を持つこの星は、長年調査員を派遣し、地球についての情報を集めていた。調査員たちは地球人として生活し、調査期間を終えれば、彼らは母星へと帰還する。その中には子どもたちもいた。 トーマス、ネスタ、ジェーコブの3人は、それぞれ事情は違ったが突然の帰還命令にさらされる。母星へ帰る事を絶対と考える親たち。住み慣れた町や友人への愛着と、親への愛情に板ばさみになる彼ら。揺れる思いを抱えながら、それぞれが最後に選んだのは? オーミンガット三部作であるこのシリーズは、「さよなら…」ではトーマス、「あの星…」はネスタ、「いつか…」ではジェーコブが主人公となる。特に「いつか…」ではそれまでの物語をジェーコブの視点で読むことができ、シリーズ全体のエンディングを迎える。 |
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「秘密の島のニム」 ウェンディー・オルー/著 田中 亜希子/訳 あすなろ書房 クジラに飲み込まれてしまい、行方不明になったお母さんを探すうち、ニムとお父さんのジャックは、誰も知らない秘密の島に暮らすようになった。 だが、プランクトンを採集にでかけたジャックが遭難してしまい、ニムがメールで助けを求めたのは、引きこもり女性作家のアレックス・ローバーだった。 迫り来る嵐の中、アレックスの助けは間に合うのか? |
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「魔女の愛した子」 マイケル・グルーバー/著 三辺 律子/訳 理論社 はるか遠い国の大きな森で、魔女は世にも醜い男の赤ん坊を拾った。魔女が赤ん坊を育てるなどありえないのだが、魔女はその子にランプと名前をつけて育てることにする。だが、ランプは、その醜さと、母親が魔女であることから、次第に心がねじれていってしまい、やがて大きな事件を引き起こしてしまう。伝説や昔話が、新しい解釈で随所に無理なく収められているところも魅力的。 |
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「ビッグTと呼んでくれ」 K.L.ゴーイング/作 浅尾 敦則/訳 徳間書店 トロイは17歳、身長185センチ、体重134.5キロ、太っていることを気にしている高校生。人並みに自殺する権利はあるとプラットホームに立っていたら、伝説のミュージシャン、カートに助けられた。ここからトロイの人生は大きく方向転換していく。 |
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「シュワはここにいた」 ニール・シャスタマン/著 金原瑞人・市川由季子/共訳 小峰書店 シュワはいつのまにか隣にいる同級生。存在感が薄く、誰にも気づかれにくい友達。ぼくはこのことを利用して、シュワと商売をはじめた。職員室のスパイなど最初はうまくいっていたんだけど、ある日、偏屈じじいの家に忍びこみ飼い犬の餌入れをとってくることになって・・・。 |
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「シャイニング・オン」 ジャクリーン・ウィルソン、メグ・ギャボット他/著 尾高 薫他/訳 理論社 目の見えないアンバーは、友達にそそのかされてやってきたカイルとデートすることに。アンバーはカイルに、目をネクタイで隠すことを命じる。カイルは見えないことへのおびえだけでなく、豊かな世界も存在していることを知る。他9篇、様々なことに遭遇する高校生が、それぞれ自分の立つ位置をつかみ、歩んでいく姿が描かれている。 |
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「盗神伝T ハミアテスの約束」 メーガン・ウェイレン・ターナー/作 金原 瑞人・宮坂宏美/訳 あかね書房 「おれに盗めない物はない」と豪語し、投獄されていた盗人のジェン。ソニウス国王の使命を受けて、王の助言者メイガスは、ハミアテスの贈り物と言われた伝説の石を盗むために、弟子のソフォス、アンビアデス、勇敢な兵士ポルとともに、負けず嫌いでいつも憎まれ口をたたくジェンをつれて旅立つことになった。しかしこの物語には、思わぬどんでん返しが・・・。全5巻。 |
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「二つの旅の終わりに」 エイダン・チェンバーズ/著 原田 勝/訳 徳間書店 イギリス人の高校生ジェイコブ17歳の物語と戦争中のオランダ人少女ヘールトラウの物語が交互に語られる。生と死、戦争と歴史、現在と過去、さまざまなかたちの愛・・・。 二つの物語がからみあうように展開していく読み応えたっぷりの物語です。 |
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「睡蓮の池 ステフィとネッリの物語」 アニカ・トール/著 菱木 晃子/訳 新宿書房 ステフィとネッリは、オーストリアのごく普通のユダヤ人の家庭で育った。しかし、ナチス・ドイツの影響が強くなり、このままでは危険だと判断した両親は、ユダヤ人を受け入れているスウェーデンに姉妹を避難させることにした。 引き取られた先は、いままでとは環境がまったく違う海の島の漁師の家庭で、しかも姉妹は別々の家で暮らさなくてはならなくなった。後から来るはずの両親は出国できず、幼い妹は今の生活になじむにつれ、母国語を忘れつつある。進学や恋などの悩みも抱えながら成長していくステフィの姿を描く。 |
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「追われる男」 ジェフリー・ハウスホールド/著 村上 博基/訳 東京創元社 1939年に発表されたイギリスの冒険小説。タイトルの通り、主人公はずっと「敵」に追われています。政治的な理由や正義のためではないのですが、ヒトラー(と思われる)を狙撃しようとし失敗したことが発端でした。派手なアクションはないですが、自分も追われているような息苦しさを感じさせます。70年も前に書かれたとは思えないですよ。外国の小説が苦手な人には特におすすめです。 |
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「アイスマーク 赤き王女の剣」 スチュアート・ヒル/著 金原瑞人・中村浩美/訳 ヴィレッジブックス 敵国、ポリポントゥスを撃退したものの父王に死なれ、アイスマークを継ぐことになった王女シリン。襲い来る敵国と戦うため、吸血鬼の国や雪豹の首領と同盟を結ぶべく、狼の首領とともに旅立つ。王女は味方を得ることができるのか? |
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「ホーミニ・リッジ学校の奇跡!」 リチャード・ペック/著 斎藤 倫子/訳 東京創元社 乗用車が馬車に取って代わろうとしはじめた頃、インディアナ州のへんぴな地域ホーミニ・リッジのアーバクル先生が亡くなった。これで学校が閉鎖されると喜んでいたラッセルに、とんでもない不幸が舞い込んだ。家族の中で最も強く恐ろしいタンジー姉さんが後任の先生になったのだ。学校嫌いで、ダコタへ行って労働したいと望んでいるラッセルは、勉強をさせようとする姉をなんとかしたいのだが・・・。 読み出したら一気に読んでしまいたくなる、軽快なペックの世界を堪能してください。 |
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「ミシシッピがくれたもの」 リチャード・ペック/著 斎藤 倫子/訳 東京創元社 初めてミシシッピ川沿いにある父の故郷をおとずれた15歳の私は、祖母から少女時代の思い出話を聞いた−1861年春、南北戦争が迫っていた頃。少女ティリーは、南部から逃れてきている着飾ったお嬢様デルフィーンと、寡黙な『肌の色の濃い』少女カリンダに出会う。謎多き二人は、ティリーの家に住むことになる。 やがて、志願兵として出征した兄ノアを連れ戻すため、ティリーとデルフィーンは戦場へ向かうが、そこで二人の隠していた秘密が明らかに・・。 |
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「めざめれば魔女」 マーガレット・マーヒー/作 清水 真砂子/訳 岩波書店 ローラという14歳の女の子が、弟のジャッコにスタンプを押し、そこから生気をすいとっているブラックという男と対決する話。 ソリーという男だけど魔女である監督生の力を借り、ローラは魔女へと変身していく。少女から娘へ変身していく超自然的な、でもだれでも内にもっている世界がみごとに描かれています。 |
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「ジャック・デロシュの日記 隠されたホロコースト」 ジャン・モラ/著 横川 晶子/訳 岩崎書店 思春期の体の変化がきっかけで、エマはダイエットを始めたが、やがて拒食症へとつながっていった。そんな中、愛していた祖母が謎の言葉を残して亡くなった。遺品を整理する中で「ジャック・デロシュの日記」を見つけたエマは、信頼していた祖父と祖母の思いがけない過去を知ることになる。 |
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「ロイド老淑女」(「アンの友達」より) L.M.モンゴメリ/著 村岡 花子/訳 新潮社 ロイド老淑女は、金持ちでケチで気位が高いとういううわさだった。実際、気位がとても高くて、今はとても貧しいことを知られるくらいなら、変わり者と思われているほうがましだと、人付き合いを避けて暮らしていた。ところがある春の日、新来の音楽の先生を見かけたことで、変化が現れた。 人が生きていくために大切なものは何なのか。高校時代に読んで考えさせられた短編です。「赤毛のアン」を知らない人にもお薦めします。 |
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「囚われちゃったお姫さま(魔法の森1)」 パトリシア・C・リーデ/著 田中 亜希子/訳 東京創元社 リンダーウォール国の姫シモリーンは、普通のお姫さまのすることが退屈でしかたない。そこで剣術やラテン語、はては魔法使いから魔法を習うが、ことごとく禁止されてしまう。そのうえ、顔だけがとりえの隣国の王子と婚約させられそうになり、家出ではなく城出をして、ドラゴンの洞窟に押しかける。気の合ったメスドラゴンの囚われの姫として、掃除や料理作りに精を出すが・・・。 型破りなお姫さまが活躍するファンタジー。 |
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「ティモレオン」 ダン・ローズ/著 金原 瑞人/訳 アンドリュース・クリエイティヴ 誰もが手ひどく運命に裏切られる意地悪なおとぎ話。捨てられた雑種犬ティモレオンが家をめざすpart2は、出会う人々の人生が惜しげもなくえがかれ、すごい勢いで消費されていきます。幸・不幸ってなんだっけとぐるぐるしたり、残酷なのに美しくて後ろめたくうっとりしたり、とにかく、途方にくれるしかない読後感。安いお涙頂戴物語には飽きたなあとひそかに思っているあなたにおすすめです。 |
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堺市立図書館 平成20年10月発行 |