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テディベア  おもしろBOOKS探偵帖2006年 

ノンフィクション

プラネタリウムを作りました。−7畳間で生まれた410万の星
大平 貴之/著 エクスナレッジ

 CMやドラマにもなった著者のプラネタリウム製作の記録。小学生のころ、夜光塗料で作った初めての作品から、メガスターの誕生までが克明に綴られている。「夢は叶えるものである」ことを実感できる、科学読物です。

チンパンジーの森へ
J.グドール/著 庄司英里子/訳 地人書館

 チンパンジー研究で世界的権威のJ.グドールをTVなどで観たことがある人もいると思います。が、彼女が大学へ行っていないのはご存知ですか。ただひたすら動物好きなイギリスの少女ジェーンがタンザニアの奥地で野生のチンパンジー達に出会い、世界的チンパンジー研究者になるまでの道のりを、若い人たちへやさしく語ります。

海の名前
中村 庸夫/写真・文 東京書籍

 海洋写真家の著者が自ら撮影した写真と文章で綴られる海の案内書。海の成り立ちから、波の名前、海で起こる気象現象など、海にまつわるあらゆる言葉が紹介されています。この本を開けば、美しい海の姿に癒されることまちがいなしです。

ただマイヨ・ジョーヌのためでなく
ランス・アームストロング/著 安次嶺佳子/訳 講談社

 自分勝手で目立ちたがり屋の考えなしのアタックを繰り返していたランスが、しだいに成長していく様子が自転車競技を通して描かれています。この本がただの成功物語と違うのは、彼が25歳の時に癌を発病、肺と脳にも転移し、鍛え上げられた筋肉は消え去り、生存率20%以下という厳しい状況で死の恐怖から逃れることができず、すべてのやる気を失ってしまった時期があったことです。
 彼が再びレースに出てみよう、「ツール・ド・フランスで勝ちたい」という希望を持ち、信じて闘いぬき、自転車レースの最高峰ツール・ド・フランスで二度目の個人総合優勝を果たし、「癌こそ自分の人生に与えられた最良のものだ」というメッセージを発するにいたるまでの恐れ悩み苦しむ様子が胸を打ちます。

柳家花緑と落語へ行こう
柳家 花緑/著 旬報社

 歌舞伎、文楽、狂言、まとめて伝統芸能と呼ばれている。落語もその一つ。イマドキのイケメンも伝統芸能を修行中だ。そんな一人の柳家花緑・35才による入門書はイラストや写真が多くてどこから読んでも大丈夫。
若手伝統芸能家によるこのシリーズは、このほかに『市川染五郎と歌舞伎へ行こう』『豊竹咲甫大夫と文楽へ行こう』『茂山宗彦・茂山逸平と狂言へ行こう』がある。

海馬 脳は疲れない
池谷 裕二・糸井 重里/著 朝日出版社

 「記憶の製造工場」と言われる脳の部位、海馬。池谷、糸井両氏は「海馬」を主題に、人間の可能性、あるいは限界について話を進め、やがて人間への大いなる信頼へと対話を繰り広げていきます。「人生においてやりかけのことだけが募ってくると、当然、誇りは生まれないだろうと思います。」(池谷)。とても耳の痛い言葉ですね。

母と子でみる 原爆を撮った男たち
反核・写真運動/編 草の根出版会

 みなさんは、原爆の悲惨さをどれだけ知っていますか。
この本では、原爆の様子が多数の当時の写真で説明されており、生々しい写真が多く目を覆いたくなるものもあると思います。でも、しっかり見てください。二度と戦争を起こしてはならないという思いがあらためて沸いてくるでしょう。

新版 色の手帖−色見本と文献例でつづる色名ガイド
永田 泰弘/監修 小学館

 古文を読んでいて、檜皮ひわだ色や木賊とくさ色ってどんな色?と思ったことありませんか。そんな時にはこの本を開いて下さい。500色の色見本とその色が登場する文献が紹介されています。あなたのお気に入りの色を見つけてみませんか。

幸せへの扉
アナ・クィンドレン/著 相原真理子/訳 集英社

 「人生には予行演習はなく、毎日が本番だということです」
 これは、この本に書かれている言葉です。人生一日一日を大切にして生きよう、ということをテーマにして書かれた本です。忙しい毎日に疲れてしまっている人、学校楽しくないなあ・・・・・と思っている人、勉強進めへん!!と思っている人などなど、最近元気がない人、少し後ろ向きになっている人は特にこの本を読んでみてください。きっと自分の中で何か変わるんじゃないかな、と思います。
 全部で62ページ、その半分くらいは写真です。短く読みやすいので、普段本はあまり読まないという人も楽に読めると思います。写真も素敵なものばかりなので、写真が好きな人も一度みてください。

若者の『心の病』がわかる本 『ひきこもり』から『家庭内暴力』まで精神科医のカルテ
町沢 静夫/著 PHP文研究所

 精神科医である著者が、日本の若者たちが抱えているさまざまな心の問題について、具体的なカウンセリングの事例をあげて、わかりやすく解説。本人を取り巻く家庭や、学校のあり方の問題もとりあげています。若者たちのこころの叫びに寄り添う著者の視点は、あたたかく、ひとりで悩んでいる人はぜひ読んでほしい。

子ども兵の戦争
P・W・シンガー/著 小林 由香利/訳 日本放送出版協会

 いま世界中の戦場で、子どもの兵士が前線に立っている。大人よりも安上がりに勇敢な兵士になるという理由で、軍や武装組織が好んで子どもを徴兵するためだ。紛争地域に派遣された国連平和維持部隊でさえ、小中学生の年ごろの兵士に銃口を向けなくてはならないのが現実だ。子ども兵の実態を明らかにし、変容が進む「戦争のかたち」をあぶり出す衝撃のリポート。

大阪弁「ほんまもん」講座
札埜 和男/著 新潮社

 メディアの力で大阪弁は全国区になった。がそれは大阪弁のほんの一部。「もっといい大阪弁がある」と思う著者は、「にせもん」「ほんまもん」に二分して、造語を作り出したのは誰か?CMの功罪は?絶滅危惧種の大阪弁などユニークで楽しい解説を進めていく。

フラワーアレンジ基礎BOOK
別冊プラスワンリビング 主婦の友社

 お花の選び方、水揚げの仕方からアレンジ、生け方までお花をキレイにみせるハウツーが全て載ってます。あなたのセンスで野の花をあきビンに生けてみたり、お玄関をリースで飾ってみるのも楽しいですよ。

宮崎アニメの暗号
青井 汎/著 新潮社

  『風の谷のナウシカ』『となりのトトロ』『千と千尋の神隠し』・・・。子どもから大人まで広く支持を受ける宮崎アニメ。それぞれの物語に仕掛けられた「暗号」を、映画・西欧史、中国思想や世界各地の神話から読み解き、そこにある「真情」―作品自体がもつ宮崎アニメならではの「エンターテインメント性」を見出すことで、宮崎アニメの真の世界観を考察する。

踊りませんか?−社交ダンスの世界
浅野 素女/著 集英社

 映画やバラエティ番組ですっかりおなじみになった社交ダンス。競技会の出場経験を持つ著者が、アマチュアの立場から、ダンスのルーツや特色、フランスでのレッスン体験談を紹介。身体に頭に心に効くダンス、あなたも踊ってみませんか。

絶品お好み焼き・たこ焼き・もんじゃ焼き
成美堂出版編集部/編 成美堂出版

 大阪といえば、たこ焼きやお好み焼き!「我が家の味が1番だけど、あの店もこの店もおいしいんだよね〜。」 
 そんなあなたにオススメなのがこの本。生地の作り方から焼き方まで、あのお店の味が家庭で楽しめます。お好み焼きや、たこ焼き以外にも、もんじゃ焼きも載っているからチャレンジしてみて。

活字倶楽部」(季刊)
雑草社

 何か面白い本が読みたい、でも、どれを読んだらいいかわからない…というあなたに、この雑誌をおすすめします。いま人気のライトノベルやミステリー、純文学から児童書まで、さまざまな本が紹介されています。きっとあなたの読みたい本も見つかるはず。

ハとガ  助詞『は』と『が』の原理
坂野 信彦/著 ブイツーソリューション

 「わたしハ社長だ。」「わたしガ社長だ。」この二つの文は同じことを表現していますが微妙にニュアンスが違います。助詞の「ハ」と「ガ」はどのように使い分けるのでしょうか。「ハ」と「ガ」の秘密に鋭く迫ります。

もったいない
プラネット・リンク/編 マガジンハウス

 「もったいない」―日本人から忘れられつつあった精神が、ノーベル平和賞受賞者のワンガリ・マータイさんによって再びその価値が見直されるようになりました。この本には、いろんな「もったいない」ことがかかれています。「もったいない」に秘められた意味をもう一度考えてみよう。英訳付なので、英語の勉強もできるかも?

みすゞさん 童謡詩人金子みすゞの優しさ探しの旅 第一集
金子 みすず/詩 三瓶 季恵/人形 春陽堂

 みすゞさんの「つもった雪」という詩を詠んだことがありますか?はじめてこの詩に出会ったとき衝撃でした。誰かを何かを思いやる深い心、みえない部分も心の目でみつめるみすゞさんの魅力。一度出会うと大人になっても子どものまっすぐな心を忘れなかったみすゞワールドに魅了されること間違いなし。

もっと知りたい世界の民族音楽
若林 忠宏/著 東京堂出版

 世界中の不思議な楽器や音楽が、豊富な写真ともに紹介されています。いつも決まったジャンルやミュージシャンの音楽しか聴かないという人も、たまには違う音楽を聴いてみませんか。

バスラの図書館員
ジャネット・ウィンター/絵と文 長田 弘/訳 晶文社

 アリアさんはイラク最大の港町バスラの図書館員。知識の宝庫である図書館の本を戦火から守るため当局と交渉したが実らない。そこで毎晩図書館の本を自宅へ運んだ。やがて戦争がバスラの町を襲い、アリアさんは友人のアニス一家らと図書館の本3万冊を運び出した。9日後図書館は燃え落ちた。これは2003年イラクであった本当のはなし。

ディズニー映画ベストシーン&ベストフレーズ
講談社

 夢なんかない。愛なんて知らない。よく人は口にします。でも本当にそうでしょうか。日々の喧騒の中で、ただ忘れているだけ。ディズニーはそんな忘れ物をきっと届けてくれます。優しさやぬくもりを想い出しませんか。この本の中で、あなたの心に響くフレーズがきっと見つかるはず。

4コマ哲学教室
南部 ヤスヒロ/著 相原 コージ/著 イースト・プレス

 「俺は何のために生きているのか?」その答えを知るために浩は旅に出て、一匹のブタ公と出会う。
 「俺は食われるために生きてるよ」というブタ公と浩の間にいつしか絆が出来ていく。
 この本を読み終えたあなたは「何のために生きてるのか?」を考え始めているかも知れませんよ。

自由という服従
数土 直紀/著 光文社

'自由'って何?今、自由だと思いますか?自由だと思って何かをする時、それは選択肢の一つであるという。全て枠(他者)の中のこと。前回W杯代表選考(ヒデ・俊輔)を取り上げている。なるほど、この本を読むのは自由だ!

オホーツクの十二か月
竹田津 実/著 福音館書店

 著者の竹田津さんは森の獣医師です。40年以上北海道東部の小清水町で、傷ついた野生動物の保護・治療・リハビリ作業に携わってきました。野鳥・キタキツネ・ヒグマ・エゾシカなどの動物や様々な自然との関わりをエッセイとカラー写真で綴ったオホーツクの大自然の記録です。

漁師さんの森づくり 森は海の恋人
畠山 重篤/著 カナヨ・スギヤマ/絵 講談社

 著者は気仙沼の漁師。子どもの頃は豊かだった海が様変わり、赤潮等の被害に悩まされていました。1989年から著者は植林を開始します。海が豊かな地域は、川もその上流にある森も茂っている事に気づいたから…。
気仙沼近隣の森や川・海はしだいに豊かさを取り戻してきました。「森は海の恋人」と名づけられたこの植林運動は、今では多くの地域に広がっています。
よみもの(日本)

図書館の神様
瀬尾 まいこ/著 マガジンハウス

 地方の小さな私立大学を卒業した清(きよ)は、その地方の高校に国語の講師として赴任した。教師になった目的はバレーボール部の顧問になること。ところがあてがはずれて文芸部の顧問になってしまった。文芸部員はただ一人、三年生の垣内君。放課後の閑散とした図書室でたった二人の部活動がはじまる。文学部を出たとはいえ、ちっとも国語が得意でない清にとって、学校の仕事は苦痛でしかなかったがやがて・・・。垣内君や不倫相手の浅見さん、心優しい弟・拓実との交流で綴られる心癒されるストーリー。

バスジャック
三崎 亜記/著 集英社

 丘の上から双眼鏡を覗くと見える一軒の家の灯り。それは八歳ぐらいの僕と家族との楽しそうな光景。なぜ、そんなものが見えるのかはわからないけれどある日のこと・・・。−「しあわせな光」より−
 ありふれた日常が奇想天外な社会に変わり、しみじみと胸を打つ感動の広がる世界が現れる。たった数ページの短編から中編まで様々な世界を描く7作品。

スウィングガールズ
矢口 史靖/著 メディアファクトリー

 話の始まりは、かったるい数学の補習授業の時間だった。野球部を応援にいくブラスバンド部の仕出弁当が間にあわなかったので、補習をさぼる口実にお弁当を届けることにした。ところが、そのお弁当が原因でブラスバンド部が食中毒になっちゃった。責任をとって、ビッグバンドを組んで応援するはめに・・・「ジャズやるべえ」を合言葉に女子高生がジャズにのめりこんでいく。

しゃべれどもしゃべれども
佐藤 多佳子/著 新潮社

 突然話し方教室の先生をすることになった26歳の落語家、今昔亭三つ葉。生徒は、あがり症の青年、気まぐれで口下手なために失恋ばかりしている美女。さらにはいじめにあっている小学生、赤面症の野球解説者までやってきた。読み終わると何か元気になれる一冊です。

幸福な食卓
瀬尾 まいこ/著 講談社

 主人公の佐和子と家族の会話の中から、温かみを感じる物語です。作者が教師ということもあり、主人公の気持ちが切なくなるほど伝わってきます。終盤佐和子は大きな出来事に遭遇し、成長していく様にはジンワリときてしまいます。読んだ後は爽やかで、優しく暖かな気分に包みこまれるような作品です。

墨攻
酒見 賢一/著 新潮社

 中国の戦国時代を舞台に、当時の思想家集団の中でも「守り」の技術に長けていた墨子集団が、いかに小国を大国から守るかという物語です。あくまでも小説なのですが、史実を織り交ぜながら話が進んでいきます。中国が舞台ということで一見すると漢字が多いような気もしますが、とても読みやすいです。
 派手な戦闘ではなく地味な守りの物語ですが、読み応えはありますよ。

魔天楼―薬師寺涼子の怪奇事件簿―
田中 芳樹/著 講談社

 警察のお偉方が大集合しているビルで、突然出入り不能となる異常事態が発生!?右往左往する上役を横目に、颯爽と事態を解決するべく登場する美女が一人。
 姓は薬師寺、名は涼子。二十七歳にして警視の地位にいる彼女は、容姿端麗・頭脳明晰、ついでに家はお金持ちという非常に魅力的な女性でありながら、警視庁きっての危険人物。そんな彼女が従僕(?)の泉田準一郎警部補を道連れに、見事事件解決なるか?
 現在最新作『霧の訪問者』まで7冊が刊行。

理由
宮部 みゆき/著 朝日新聞社(文庫は朝日新聞社・新潮社)

 東京荒川の高層マンションで一家4人殺しが起こった。室内には3人の男女の死体。夫婦と老婆か。そしてベランダから転落した若い男の死体。しかし住んでいるはずの家族ではなかった。一体殺されたのは誰?犯人は誰?直木賞受賞作。

押入れのちよ」 萩原 浩/著 新潮社

 この本はホラー短編集ですが、読んだ後にイヤな感じが残らない。むしろ、ほんわかとした作品集です。表題作は明治生まれの幽霊のちよと負け組の主人公恵太の両者の「触れ合い」を中心に展開していくストーリーです。死者と生者が別のものではなく、互いにつながっているというメッセージを伝える作品です。

少年陰陽師 1 異邦の影を探しだせ
結城 光流/著 角川書店

 稀代の陰陽師・安倍晴明の孫である安倍昌浩は、まだ13歳。陰陽師としての素質はあるのだが、まだまだ実力は半人前。一番言われたくない言葉は、「あの晴明の孫」。物の怪のもっくんを相棒として修行中の身である。そんな中、都に異形のものがあらわれ、昌浩は独自で調査を始めるが…。

ああ、恥ずかし
阿川 佐和子ほか/著 新潮社

 著名人による失敗談。日常にありがちな失敗をその人たちの上手い文章でまとめてあります。フッと笑ってしまう数々の失敗談の連続に心も和やかになります。作家の方々も数多く書かれていますので、この本をきっかけにいろいろな作家の作品を読んでみるのもいいかもしれません。

自由に至る旅
花村 萬月/著 集英社

 単なるバイク旅行のススメとしてだけ読むのはもったいない。
オートバイを愛し、野宿旅を続けている作家・花村萬月が、その思想と実践について語る。日本全国のお薦めのポイント、野宿や運転技術の具体的なノウハウなど、役立つ情報も満載。不自由な日常から、自由な世界へ。
さあ、あなたも旅に出よう!


乃南 アサ/著 幻冬舎(文庫は上・下巻で新潮社)

 舞台は昭和39年。刑事をしている婚約者が、陶子への電話を最後に失踪する。その後まわりで事件が起こる。一体真実は何なのか?陶子は婚約者の行方を捜し始める。まるで映画を観ているような展開で、時代背景なんか気にならないはず!

ウィニング・パス
広鰭 恵利子/著 汐文社

 ある日、健太は父とケンカして家を飛び出し、バイクで事故に会い、下半身付随になってしまった。自由にならない身体にいらつく健太だが、ある日出会った車椅子バスケに熱中するようになっていく。
テーマは重いですが、さわやかな読後感が残るお話です。

失はれる物語
乙一/著 角川書店

 交通事故で、右腕の肘から先以外の全ての感覚を失った主人公。腕に妻が文字をなぞるのに人差し指の上下だけで答える日々。やがて妻は腕をピアノの鍵盤にみたてて演奏をはじめる。彼女の指によって奏でられる音のない音楽は独房に唯一ある窓のようなものだったが・・・。
表題作ほか五つの物語をおさめた短編集。

ないもの、あります
クラフト・エヴィング商會/著 筑摩書房

 よく耳にはするけれど、一度として見たことの「ないもの」のカタログ。"左うちわ"や"思う壷"が本当に買えたなら・・・と、夢の膨らむ一冊。ユーモアたっぷりで痛快な著作は他にも7点あります。不思議の世界をぜひ体験してみて下さい。

ズッコケ中年三人組
那須 正幹/著 ポプラ社

 小学校を卒業して二十八年。ハチベエ、ハカセ、モーちゃんの三人は四十歳を迎えようとしていた。
 ハチベエは実家の商売であった八百屋からコンビニの店長に転身、ハカセは大学卒業後、地元中学の社会科教師に、モーちゃんは勤めていた大阪の会社が倒産して、レンタルビデオショップのアルバイトに。それぞれの生活を送る中、かつて対決した怪盗Xと再会する。
 果たして怪盗Xの目的は?三人はその犯行を阻止できるのか?!

皇国の守護者<1> 反逆の戦場
佐藤大輔/著 中央公論社

 大陸の軍事国家「帝国」と島国の貿易国家「皇国」との日露戦争を思わせる戦争と、その中で英雄視されてゆく新城直衛を描く長編ファンタジー。
 19世紀辺りの近代戦の只中に知的生物であるサーベルタイガーを伴う剣牙虎兵、無線やレーダーの役割を担う超能力者、導術兵など異国情緒もあり。漫画版も好評連載中です。

三国志
宮城谷 昌光/著  文藝春秋

 みなさんが、読んだと思われる横山光輝の『三国志』、吉川英治の『三国志』、北方謙三の『三国志』は、中国の小説『三国志演義』を題材にしています。宮城谷昌光の『三国志』は他のものと違って、歴史書『三国志』を題材にしています。文章も内容も少し難しいかもしれません。しかし、お話はあの『三国志』です。歴史の三国志を一度味わってみませんか?

High and dry(はつ恋)
よしもと ばなな/著 文藝春秋

 14歳の夕子のはつ恋は、20代後半の絵の先生「キュウくん」。ある日の出来事がきっかけで、2人の距離は少しずつ近づいていく・・・。せつないけれど、あたたかい。何となくほっこり幸せな気分になれるこの本。あなたの「今」だからこそ感じることのできる気持ちを、大切にしながら読んでみてください。

秋の花
北村 薫/著 東京創元社

 文化祭準備中の事故と処理されたある女子高生の死。先輩である「私」は事件の核心に迫ろうとするが・・・。高校を舞台に、登場人物たちが生き生きと活動する様子はきっと身近に感じられることでしょう。そして主人公たちとワクワクドキドキしながら、いつしか人の生死の意味について考えているのでは・・・そんなミステリーです

荒野のマーくん その受難」・「荒野のマーくん その試練
花形 みつる/著 偕成社

 世にも不幸な小学6年生の物語。
 絵に描いたようなハッピーな家庭に、退屈しているマーくん。そんな彼をつぎつぎに災難がおそいます。それは、邪気ある天使タキザワのしわざでした…。マーくんの行く手に待ち受けるものは?物語の結末が気になる全2冊。
よみもの(海外)

こんなアンデルセン知ってた?」シリーズ
ナイチンゲール」 赤木 かん子/文 (丹地 陽子/画)
火打ち箱」 赤木 かん子/文 (高野 文子/ペーパークラフト)
フェリシモ出版

 数あるアンデルセンの作品の中から「え?これってアンデルセンだったの?」と思わせる雰囲気を持つお話を絵本化しています。
 中国の皇帝を美しい鳴き声をもつ鳥ナイチンゲールの心のふれあいを描いた『ナイチンゲール』。今まで老人として描かれてきた皇帝を、少年にするというアイディアが成功しています。丹地陽子の美しい絵もナイス。
 『火打ち箱』の絵は漫画家の高野文子によるペーパークラフト(撮影も本人によるもの!)が不思議な味わいを倍増させています。

「魔女の血をひく娘」 
セリア・リーズ/著 亀井よし子/訳 理論社

 17世紀のイギリス、魔女狩りにあった祖母の姿を目の当たりにし、新大陸アメリカへ逃れたメアリー。しかし、そこも安住の地ではなかった。彼女がその後治療師として生きた場所は先住民インディアンのもとだった。

リリス
ジョージ・マクドナルド/著 荒俣 宏/訳 筑摩書房

 今や大人気のファンタジーが誕生したのは、19世紀ヴィクトリア朝のイギリス。ジョージ・マクドナルドはこの時代にファンタジーの礎となった作家です。
昨今のファンタジーは魔法や冒険や戦闘などが満載で、明るく楽しい物語といった印象が強いのですが、そのつもりで当時の作品を読むとがっかりするかもしれません。『リリス』も決して読みやすくはありませんが、最近の軽いファンタジーにはない感動があります。
『リリス』を読み終えたら、同じマクドナルドの『ファンタステス』も是非お読みください。

朝のひかりを待てるから
アンジェラ・ジョンソン/著 池上 小湖/訳 小峰書店

 ボビーは16歳の高校生。そして、同級生のニアとの間に生まれたフェザーを育てる父親でもある。ニアは今、植物状態。ボビーの母親は育児には一切協力してくれない。夜泣きで夜通し眠れない日々。学校に行く前に地下鉄を2回乗り換えてベビーシッターに預けに行かなければならない。ボビーはがんばっていたが、とうとうある日、母親との約束を破ってしまった。
 同じ著者の『天使のすむ町』もどうぞ。

エリカ 奇跡のいのち
ルース・バンダー・ジー/文 ロベルト・インノチェンティ/絵 柳田邦男/訳 講談社

 〈おかあさまは、じぶんは「死」にむかいながら、わたしを「生」にむかってなげたのです〉1944年のユダヤ人強制収容所へ向かう汽車の中から線路脇の草むらにほうり投げられた赤ちゃん―拾われて奇跡的に生き延びた「エリカ」が状況を想像し、回想する形で描かれた実話を元にした「奇跡」の物語。

HOOT(ホー)
カール・ハイアセン/著 千葉茂樹/訳 理論社

 ロイはある日、スクールバスの窓から裸足ですごい勢いで走る少年をみつけた。後をつけると少年のへびにおどされ、正体をつかまないまま別れることに。後日、町で建設中の工事現場からヘビが発見された。何者かが工事の邪魔をしたのだ。少年達の反撃が小さな命を救う痛快なクライマックスまで一気に読める

「クロニクル千古の闇」 12
ミシェル・ペイヴァー/著 さくまゆみこ/訳 評論社

 紀元前4千年の森での話。トラクはどの部族にも属さず父と二人で生きてきた。父をクマに殺されトラクの道ずれはオオカミの子ウルフのみ。父がひた隠してきたトラクの出生を捜す旅が始まる。現在2巻目まで出版されています。

オオトリ国記伝1 魔物の闇
リアン・ハーン/著 高橋佳奈子/訳 主婦の友社

 日本の封建時代によく似た架空の国家、オオトリ国。隠者の母と部族の父を持つ若者オオトリ・タケオは相反する気持ちを抱えながら、つらい運命に立ち向かっていく。
 ヨーロッパ各国でベストセラーとなったサムライファンタジー三部作の第1巻。

ドゥームズデイ・ブック
コニー・ウィリス/著 大森望/訳 早川書房

 2054年、過去への時間旅行が可能となり、オックスフォード大学史学部の女学生が歴史研究のために過去にタイムトラベルする。そこは14世紀。到着するなり原因不明の病に倒れてしまう。一方、未来ではタイムトラベルを担当した技術者が意識不明の重体に。未来と過去が交互に語られ読者も21世紀と14世紀の世界をいったりきたり。読み始めたらやめられなくなるSF大作。

イングリッシュローズの庭で
ミシェル・マゴリアン/著 小山 尚子/訳 徳間書店

 戦禍のロンドンから、海辺のコテージ「千鳥荘」に疎開してきたローズとダイアナ。この家には〈狂人ヒルダ〉と呼ばれる女性が住んでいたという。妹のローズはヒルダの秘密の小部屋を見つけ、ヒルダの日記を読みはじめる。

羽根の鎖
ハンネレ・フオヴィ/著 末延弘子/訳 小峰書店

 鳥を引きよせる力を持っている少女エレイサは、近づいてきたタカと強くひかれあったために、タカの鋭い爪で視力を失った。そして、鳥の国の裁判により、ふたりは羽根の鎖で互いにつながれ自由を奪われる罰を受ける。魔法を解くため旅に出るふたりの物語。
「E」ではじまる章はエレイサ、「K」ではじまる章は道中で出会う仮面少女の視点で描かれていて、幻想的な雰囲気に満ちたフィンランドのファンタジー文学。

リディアのガーデニング
サラ・スチュワート/文 ディビット・スモール/絵 福本友美子/訳 アスラン書房

 大恐慌の時代に、主人公のリディアは街でパン屋を営むおじさんの家に一人あずけられていく。淋しさを見せずに花を育て明るく店を手伝うリディアだが、おじさんは少しも笑顔を見せない。なんとかしておじさんを笑わせたい。リディアは秘密の計画を立てます。
 ラストシーンのおじさんの行動に思わず、涙腺がゆるんでしまいます。

おかしなことを聞くね
ローレンス・ブロック/著 田口 俊樹ほか/訳 早川書房

 随分前になりますが、新聞に紹介されたことがあります。ふだんミステリは読まないのですが、タイトルに惹かれて読みはじめたら一気に読み終えてしまいました。短編集というのがよかったのかもしれません。以来、ブロックのファンになりました。
とてもお洒落で面白い作品ばかりですので、ミステリが苦手な人にも、一度挑戦してもらえればと思います。

ミエナイ彼女ト、ミエナイ僕。
アンドリュー・クレメンツ/著 坂本貢一/訳 求龍堂

 二月のある朝、目を覚ますと僕は透明人間になっていた。原因は不明。物理学者のパパも、大学の英文学教授のママも信じてくれたものの、お手上げ。だけど、こっそり出かけた図書館で出会った女の子アリーシャは、目が見えなかった。僕は彼女に秘密を打ちあけ、僕を元に戻すための特別プロジェクトチームが作られたものの、州当局が僕の不在を児童虐待と疑い始め…。

錬金術
マーガレット・マーヒー/著 山田順子/訳 岩波書店

 万引きを見逃すかわりに女生徒ジェスの身辺を探れ、と教師におどされたローランド。仕方なくジェスに近づくうちに、ローランドはくりかえされる悪夢の正体や自分に秘められた能力、そして恐ろしい陰謀に気づくことに…。サスペンスいっぱいの物語。

闇の守り手 1 ナイトランナー
リン・フルエリン/著 浜名那奈/訳 中央公論新社

 無実の罪で牢屋に入れられていた少年アレクは、同じく囚われていた男・サージルとともに脱獄に成功する。吟遊詩人と名乗ってはいるが謎の多いサージルと行動をともにすることにしたアレク。2人は知らずに呪われた品を手に入れ、何者かに追われることになってしまった。

ベラスケスの十字の謎
エリアセル・カンシーノ/著 宇野和美/訳 徳間書店

 スペインの宮廷画家ベラスケス。彼の『侍女たち』という絵に描かれているニコラスという少年の生い立ちと成長を追いながら『侍女たち』制作の謎を解き明かす。史実と著者の想像をみごとに織り交ぜたミステリアスファンタジー。
ストーリーを追う楽しさだけでなく、歴史や絵画への興味を増すことのできる本。
堺市立図書館 平成18年11月発行


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