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こんな調べものがありました
−レファレンス事例集−

堺市立図書館

岩波文庫『大地(四)』巻末の解説に「三八年には彼女にノーベル文学賞が贈られた。だが、対象となったのは意外にも二冊の両親の伝記で『大地』ではなかった」とあるが、その二冊の両親の伝記を見たい。 文学001
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回答
『母の肖像』(The Exile)、『戦う天使』(The Figthing Angel)の二作が主な受賞の根拠となったという記述あり。

調査のあしあと
 ノーベル文学賞はその作家の作品や活動に与えられるもので、特定の作品に与えられるものではないとされている(一部例外もある)
パールバックの場合、『ノーベル賞文学全集 7巻』によれば、「パール・S・バックに対するノーベル賞授与の選考経過」の文中で「『大地』だけで、あるいは、それを主力にして、パール・バックが褒賞を受けたわけではない。」という文があり、「授賞の理由に関する公式の文書の中では『中国における農民の生活の、豊かにして真実な叙事詩的描写と、彼女の伝記的諸傑作に対してである。』と謳われている」とある。
同文中で『母の肖像』(The Exile)、『戦う天使』(The Figthing Angel)について「この二つの伝記的小説にこそ、ノーベル賞の特徴と権威がもっともその受賞の根拠をおいたもので、他の多くの授賞の場合よりもこれは顕著である。」とある。

『母の肖像』は同書に収録されている他、何点か所蔵あり。
『戦う天使』は書名で検索したところ1973年芙蓉書房刊のデータが出てくるが堺では所蔵なし、大阪市他数市に所蔵データあり。『ノーベル賞受賞者業績事典』によれば『戦う天使』『さすらい人』の2作をあわせて『霊と肉』として発表とあるので、そちらでも検索したところ、1941年河北書房刊が府立図書館にある。ただし邦訳タイトルは『戦へる人』なっている。

なお、参考資料として使用した『ノーベル賞文学全集』は選考経過、授与演説、受賞演説が記載されているため、このような調査には有用であるが、掲載作品は必ずしも受賞の主な根拠となった作品ではない。



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