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図書館トップページ> 調べもののページ> 「図書館で解決!?」第28号 発達障害についての本 |
発達障害の原因はまだよくわかっていませんが、脳機能の障害と考えられており、子どもの発達期に症状が現れるもので、自閉症、アスペルガー症候群などの広汎性発達障害のほか、学習障害(LD*)、注意欠陥多動性障害(AD/HD*)などがあります。近年、発達障害という言葉は、特別支援教育*のはじまりとともに、広く知られるようになりましたが、正しく理解されていないケースも多く、例えば発達障害に特徴的な行動の原因を、当事者の努力不足や親の養育姿勢に求めるなど、発達障害に対する間違った理解は、当事者や養育者を周囲から孤立させる要因になりかねません。今号は、発達障害についての概要を、関連本の紹介とともに解説します。
(書名・著者・出版社・出版年・NDC分類の順に掲載)
発達障害全般についての理解には、以下の資料が役に立ちます。
広汎性*発達障害とは、①社会性の障害、②コミュニケーションの障害、③想像力の障害*、の3つの中核症状を特徴とした障害です。障害の明確な境界線がないところから、虹のスペクトルに例えられ、自閉症スペクトラム(連続体)と呼ぶこともあります。同じ3つの中核症状を特徴としながら、知的障害を伴わない自閉症を高機能*自閉症、さらに言葉の発達に遅れがない自閉症をアスペルガー症候群と呼んでいます。
自閉症研究の第一人者による、親と専門家のためのガイドブック。自閉症スペクトラムの概念や関連疾病、支援方法など網羅的に解説。
ジョン・エルダー・ロビソン/著 テーラー幸恵/訳 東京書籍 2009 936
著者が「ありとあらゆる人たちから」聞かされたというフレーズがタイトルの由来。しかしアスペルガー症候群を持つ人の多くは目と目で見つめ合うことが苦手です。40歳までアスペルガー症候群だと知らずに生きてきた著者によるユーモアあふれる自伝。
テンプル・グランディン/著 中尾ゆかり/訳 日本放送出版協会 2010 378.6
高機能自閉症の障害を持つ著者による自閉症支援の本。自身の経験から、早期介入支援の必要性、「能力を信じて高い期待をかけること」の大切さを訴える。
学習障害(LD)とは、知的発達に遅れはないが、「読む、書く、計算する」など基本的な学習能力のうち、特定の能力の習得と使用に困難がみられる障害です。「読む」「書く」能力のみにつまずきのある障害を「ディスレクシア*」(読み書き障害)といいます。学習障害は他の発達障害、特にAD/HDと重複しやすいのが特徴です。
「僕は小学生の頃から書籍や雑誌を読むのに肝心の活字が霞んでしまい、正確に読解するには、通常の何倍も時間を要しました」(本書より)。ディスレクシアであることを公表し、現在は講演活動などを行っている南雲明彦の伝記。
注意欠陥多動性障害(AD/HD)とは、注意を持続できない、物をなくす、約束を忘れるなど(不注意)、落ち着きがない、走り回るなど(多動性)、質問が終わる前に答えようとする、順番が待てないなど(衝動性)、の3つの症状を特徴とする行動面の障害です。また、症状(不注意・多動性・衝動性)の程度により、混合型、不注意優勢型、多動性‐衝動性優勢型、という3つのサブタイプに分かれます。
メアリー・ファウラー/著 沢木昇/訳 扶桑社 1999 378
AD/HDを持つ子どもの母親が書いたガイドブック。実体験を紹介するとともに、どう子どもを理解し、導き、育てるか、有用な科学的知識と実用的なノウハウを提供する。
リック・リオーダン/著 金原瑞人/訳 2006 933.7
映画にもなった児童文学。主人公パーシー・ジャクソンはAD/HDとディスレクシアの障害を持っています。著者は自らのホームページで、そのように設定した理由について「同じような障害を持つ子どもたちみんなの可能性について、私なりの敬意を表したかったからです」(原文英語)と述べています。
この欄では、本文(左欄)で出てきた専門用語(末尾に*と表示)について解説します。
堺市発達障害者支援センター
堺市西区上野芝町2丁4-1(堺市立北こどもリハビリテーションセンター内)
TEL 072-276-7011 FAX 072-276-7344
http://www.scswa.jp/12_hatutatu/12_hatutatu.html
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