「三村宮祭礼絵馬」は、かつて開口神社が所蔵していた祭礼の様子を描いた絵馬で、絵馬堂にかかっていたらしいが、戦災で焼失している。現物は焼失したが『堺市史』編纂時に撮影した写真を中央図書館が所蔵している(モノクロ)。堺市博物館発行の『都市の信仰史-堺開口神社と平野杭全神社』『開口神社と堺』『大寺さん』には絵馬の製作日や奉納日について書かれていない。『フォーラム堺学』第20集には「この絵馬がつくられた年代についてはわからないことが多く、いつ頃のお祭りの様子を反映したものかがわからない」との記述がある。
山鉾については「開口神社祭礼鉾」と題した昭和2年に撮影された写真(中央図書館所蔵)があり、絵馬に描かれている山鉾と同じものと考えられる。こちらのほうが山鉾の構図を確認しやすい(『開口神社と堺』『大寺さん』に掲載あり)。『開口神社八朔祭 記録作成・調査研究事業報告書』によると、開口神社では600年以上前から八朔祭という秋祭りが行われており、質問の絵馬もこの八朔祭を描いたものと思われる。現在はふとん太鼓が宮入りしているが、その前はだんじりが、そしてだんじりの前は山鉾が曳行していたらしい。開口神社の山鉾は「南大小路鉾」と呼ばれ、『堺・布団太鼓盛衰記』にはその型体と鉾組についての詳しい記述がある。
(中央図書館)
|