「図書館で解決!?」第12号 自転車のまち・堺市 自転車をテーマにしたよみもの |
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古くは夏目漱石の『自転車日記』から、自転車をテーマにしたフィクション・ノンフィクションは数多くあります。 その一部をご紹介します。
目次
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1)自転車小説 | 目次へ | |
『男たちは北へ』 風間一輝 早川書房 1989 東京から青森へ自転車で向かう男と、追う組織。ハードボイルドなロードノベル。 『奇跡の自転車』 ロン・マクラーティ 新潮社 2000 43才、126kg、いわゆる負け組の日々を送る主人公の再生につながるアメリカ横断の旅。 旅でのエピソードと回想を繰り返し、一気に読ませます。 『銀輪の覇者』 斎藤純 早川書房 2004 戦前を舞台に、長距離自転車ロードレースの行方を描く、ミステリ要素も含んだ冒険小説。 自転車に興味ないという方にもお勧めです。 『サクリファイス』 近藤史恵 新潮社 2007 多くのアシストを踏み台にしてきたエースと、彼を勝たせるために走る主人公。 タイトルの「犠牲」の真の意味は?ロードレースを見たくなる1冊です。2008年度本屋大賞で、第2位に選ばれました。 『自転車で月へ行った男』 バーナード・フィッシュマン 早川書房 1980 自分がどんどん透明人間になっていくような気がしていた45歳のステファン。 だが、10段変速のサイクリング車で走るうち、違う風景が見えてきた。大人向けファンタジィ。 『自転車少年記』 竹内真 新潮社 2004 自転車を軸にした、3人の少年の成長小説。爽快感のある物語。 『自転車少年記 あの風の中へ』 竹内真 新潮社 2006 上記作品を元に視点を変えた続編的作品。 『セカンドウインド』 川西蘭 ジャイブ 2007 少年がロードレースと出会い、仲間、ライバルとかかわって成長してゆく姿を描く、シリーズ1作目。続刊が待たれます。 『魂の駆動体』 神林長平 波書房 1995 自動車をテーマにしたSFですが、第16章はほぼ全て自転車を設計する話。 フロントフォークがなぜ曲がっているかについての薀蓄が述べられています。 『走って帰ろう!』 加藤聡 エンターブレイン 2006 借金のため、非合法自転車レースの選手となった高校生。彼の行き先は? 第7回えんため大賞の優秀賞受賞作。 『バンクに吼えろ!』 吉野耕平 天山出版 1989 国際競輪グランプリを舞台とした小説。 「個人競技であって団体競技でもある」という競輪独特のレースシーンと、レースを支えるスタッフたちの姿が書き込まれています。 |
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2) 自転車と人生 | 目次へ | |
『青葉台駅チャリンコ2分』 鈴木カオリ 小学館 2005 暴走気味に突っ走り続ける青春記。 『こぐこぐ自転車』 伊藤礼 平凡社 2005 70歳を目前にして自転車に乗り始めた著者の、軽妙で味わい深いエッセイ。心理描写が抜群。 『自転車依存症』 白鳥和也 平凡社 2006 とある自転車乗り曰く「この本には俺のことが書いてある!」。 『ただマイヨ・ジョーヌのためでなく』 ランス・アームストロング 講談社 2000 激しい化学療法の末、がんに打ち勝ち、ツール・ド・フランス優勝という驚異の復活をとげたランス・アームストロングの自伝。 『ツール 伝説の峠』 安家達也 未知谷 2005 ツール・ド・フランスの山岳コースと、山岳王23人のエピソード。 『やった 4年3カ月も有給休暇をもらって世界一周5万5000キロを自転車で走ってきちゃった男』 坂本達 三起商行 2001 こどもの頃からの夢、自転車での世界一周を実現した著者の、世界各地での出会いを写真とともに綴ったエッセイ。 ちなみにその自転車は、自転車博物館で見ることができます。 『吉田自転車』 吉田戦車 講談社 2002 愛車「ナイスバイク号」との日常をゆるりと語る。 |
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3)文学者と自転車 | 目次へ | |
“明月珠” 石川淳 (『石川淳全集』第2巻所収 筑摩書房 1989) 戦時中、自転車に乗るべく練習をする主人公。永井荷風と思われる人物が登場します。 “自転車” 志賀直哉 (『灰色の月・万暦赤絵』所収 新潮社 1981) 自転車に夢中だった十代の頃を回想した短編。 “自転車日記” 夏目漱石 (『漱石全集』第12巻所収 岩波書店 1984) イギリス留学中の漱石が、自転車の練習をする自らを諧謔的に描いた短編。 『我輩は猫である』につながる作品と言われています。 “自転車日記” 萩原朔太郎 (『萩原朔太郎全集』第10巻所収 筑摩書房 1975) 練習をはじめてから市中を乗り回すようになるまでを日記体で描く。 他の町へ行ってみたくだりなど、自転車好きなら思い当たる部分がきっとあるはずです。 |